えんさん

ナミヤ雑貨店の奇蹟のえんさんのレビュー・感想・評価

ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年製作の映画)
1.5
2012年のある日、以前ナミヤ雑貨店があった廃屋に忍び込んだ敦也たち。かつて、ナミヤ雑貨店はどんな悩み相談も受けることで知られていたが、店の亭主も他界し、今は寂れた商店街の廃屋と化していた。そこに32年前に書かれた悩み相談の手紙が届いてくる。最初は懐疑的だった敦也たちだったが、戸惑いつつ当時の店主に代わり返事をしたためていく。次第にやってくる手紙の内容に、敦也たちの心は強く揺さぶられていく。。直木賞作家・東野圭吾のベストセラー小説を「彼女の人生は間違いじゃない」の廣木隆一監督のもと映画化した作品。

東野圭吾といえば、「変身」などの作品に代表されるようにフィクション色が強い世界観の中でも、人間の本質を上手く捉えるようなミステリー作品に定評があります。なので、東野原作作品というと、透明感の高い(ミステリーとしての?)フィルターがかかるものが多く、作品自体に独特の色合いがかかるのですが、本作でもそのような空気感を感じることができます。過去の世界から、ナミヤ雑貨店のポストを通じて、手紙がタイムスリップしてくる。主人公の敦也たちは最初にそれを知らずに、遊び半分で返信をしたところ、その返信内容に準じたような(自分たちの知っている)過去の歴史につながってくるという、お話としては小さなパズルのピースが上手くハマっていくようなミステリー作としての上手さを感じるような内容になっています。

でも、何でしょうかね、、とにかく話が上手く繋がりすぎなのが、僕はかえって作品として嘘くささしか感じないようになってくるんですよね。円環したようなドラマ感は、敦也たちが失踪していく寂れた商店街が、どこか昔の味を取り戻していくような演出効果も相まって、ファンタジックな演出感は感じるのですが、それもいささか表面的なような気もします。それに敦也たちが冒頭で強盗事件を起こすようなヤンキーにどうしても見えない、、僕自身がちょっとオジサンが入っているのでしょうがないのかもしれないですが、「クローズZERO」以降のこうした小ワル・ヤンキーを取り上げている作品に、顔のキレイなジャニーズ系の俳優が演じ手として出てくると、どうしても嘘くささしか感じないんですよね。実際に、敦也たちはいいヤツだったというのが、ドラマの最後のほうで分かってくるんですが、いやいや見た目でもいいヤツでしょ、、と思っちゃう。今の若い世代から見ると、彼らでもヤンキーに見えるのかな??と思って観ていました(笑)。

まぁ、東野作品だけにお話はしっかりとしたものはあるのですが、映画としての味付けがすごくショボく感じてしまった次第です。いいお話なんですけどね。。