ぱた

人類遺産のぱたのネタバレレビュー・内容・結末

人類遺産(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

アートフィルム。

私の中の好きが溢れて困る。本当に何も考えず自分のためだけに見てるんですよね。この作品の芸術性とかある種の社会風刺とか或いは哲学とか、そんなことは考えてなくて、微睡みながら退廃していくもの、呑み込まれ行くもの、置き去りにされたものをぼんやり眺めて、雨や風や生き物の声をどこか遠くで聞いて、行き場のない不安感や寂しさを感じながらいつの間にか眠ってる。その感覚が堪らなくって、観ちゃうんです。めちゃくちゃ不道徳で不埒な鑑賞態度なのでアレですけど。

加えて廃墟の暗がりに差し込む自然光の美しさよ。文明が自然に呑まれるのって、もちろん廃退的な美しさもあると思うんだけど、無機質な空間に植物が芽吹いていく姿をみると地球の圧倒的な再生能力を目の当たりにしてるみたいな気分になる。人間の無力感を感じられて好きです。もちろん、ただ古びて朽ちていくものも絶望感があって堪らないですよね。

そんなこんなで好きな作品ですが、一度でフルを観終えたことはないです。多分どんなに私の目が冴えていても、寝てしまう自信があります。少しばかりの寂寞の心地よさったらないです。純粋な芸術作品としての楽しみ方ではないですし、作者の意図する所じゃないとは思いますけど。

世界に一人だけ取り残されたような感覚を、インスタントに感じたい人はどうぞ。
ぱた

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