人類遺産(2016年製作の映画)

Homo sapiens

上映日:2017年03月04日

製作国:
  • オーストリア
  • スイス
  • ドイツ
  • / 上映時間:94分
    監督
    ニコラウス・ゲイハルター
    脚本
    ニコラウス・ゲイハルター
    あらすじ
    日本で10万人が観た大ヒット作『いのちの食べかた』のニコラウス・ゲイハルター監督最新作撮影期間4年、世界70ヶ所以上にも及ぶ“廃墟”にカメラを向けた唯一無二の映像集。 放置され、朽ちゆく人工建造物の風景からは、人々が去った後もなお、不思議な息吹が感じられる。 “彼ら”が私たちに伝えようとしているメッセージとは何か? いま、時空を超えた人類遺産との対話が始まる―

    「人類遺産」に投稿された感想・レビュー

    みきまる
    みきまるの感想・レビュー
    1日
    4.0
    建物大好きなので観に行った。
    雨、風、光、雪と廃墟の静謐なハーモニーに癒された。
    とくに曇天+雨だれの音+廃墟の組合わせがいい。

    いっさいの登場人物不在、台詞なし、音楽なし、字幕も説明もなし。
    こんなに無い無い尽くしの映画、初めてだ。
    映像というか、写真を次々と眺める感じ。

    これで一本の映画を撮ってしまう監督の力量を感じた。
    やろうと思っても、実際は誰もやらない作品って感じ。

    上記の通り、説明が一切ないので、
    私の頭の中は最初から最後まで、
    「一体何なの??」
    「一体何なの、これは?」
    「一体何に使ってた建物なの?」
    「一体なぜ廃墟になったの?」
    「一体ここはどこなの?」
    「一体ここの住人はどこへ行ったの?」
    という風に、ずーーーーっと途切れることなくクエスチョンの応酬だった。
    こんなに連続した時間、想像力を掻き立てられた映画も初めてかもしれない。
    おかげでものすごく集中して、前のめりで食い入るように見た。

    往時は人が賑わっていたであろう建物ほど、廃墟になると寂寞とした気分にさせられる。
    遊園地、ボーリング場、映画館、そしてくたびれた着ぐるみも…。

    初めから緑の中に作られたかのような、円弧を描くカウンターのバー、廊下にぎっしり書類・書籍で敷き詰められた大学のような建物など、いくつもお気に入りの廃屋が出てきた。
    それにしても、建物って人が住まないと、こんなにも荒廃してしまう不思議。

    長崎の軍艦島は圧巻で、巨大な空洞と化した団地が壮大だった。生きている間に絶対この地に行ってみようと思った。
    おそらく高度経済成長期に人の住んでいた気配があり、赤ん坊用の人形が風塵にさらされた部屋など見ると、そら寒い気持ちになる。ここに住んでいた人は、今は生きているのだろうか…?と。

    そう考えると、今いる自分の家や、関わりのある建物たちも、いずれは苔むした廃墟になるのだろうか…?と思うと、
    いったい人間って何なんだろう?
    私の存在ってこんなにも不確かなものなのか。
    100年後、私や私に関するものを知るものはいないのか…などと、
    またしてもうすら寒い気持ちになってしまった。

    建物の内装より外観が好きなので、そちらが多めだとなお良かった。
    あと自分は廃墟も好きではあるが、「生きている」建物、「活気ある」建物の方がより好みなんだな、と自分の趣向が確認できて良かった。
    泳ぐたいやき
    泳ぐたいやきの感想・レビュー
    3日
    4.0
    かつて人間が生活していた場所、なのに人っ子ひとり映ってない。
    異様、というか異世界というか、時代感覚もなくなるというか。まるでSFを観てるような錯覚に陥りました。

    廃墟と化した建物または街がスクリーンにドンと映し出され、鳥の囀りや樹々、森の声、風や雨雪、波の音が取り巻く。ロケーションとサウンドスケープが、ほんっと〜〜に凄かったです…!!どこからロケーションをセッティングして、どうやって撮影して、どのように録音・デザインされたんでしょうか?すごく興味を持ちました。
    興味持たれた方は、是非映画館で、前方で観て下さい!一見の価値ありでした。
    Kotobuki
    Kotobukiの感想・レビュー
    2017/05/12
    4.5
    建築は残る。文化として。光と風と、命を背負いながら
    hohry
    hohryの感想・レビュー
    2017/05/11
    4.0
    「おもいでポロポロ」のなかで、田舎の風景を見た主人公が自然は美しいと言った言葉を受けて、地元の青年が、この風景は人間がつくったものだとかなんとか言う場面がある。それをふと思い出した。かつて人びとがそこにいたであろう、そんな廃墟と呼ばれる建築物が雨、風などの天候にさらされそこに固定されたカメラで動画として写し出されている。その建築物は朽ちてはいるが映像としてはかなり美しい。タルコフスキーが監督しスベン・ニクベストが撮った映画のように威厳を感じさせる。「おみおくりの作法」のラストシーンのように、ふたたびそこを去って行ったものが戻って来るようにさえ錯覚させる。そんなことを思い起こさせるのであった。
    クマゴロ~
    クマゴロ~の感想・レビュー
    2017/05/06
    3.6
    この手の類は寝てしまう事もあるのでかなり警戒したけど大丈夫だった〜〜
    人類なき後、どんな世界が遺され、どんなふうに還っていくのか、どんなものがしぶとく残るのか、特に福島のように生活そのままに人が去った街は人の匂いな濃くやはり印象に残った。ドラえもんであった世界が現実になった気もした
    こんち。
    こんち。の感想・レビュー
    2017/05/06
    4.0
    とっても良かった。
    ナレーション無し、音楽無し。ただ世界中の様々な廃墟を固定カメラで映し出す1時間半。福島、チェルノブイリ、いわゆる負の遺産も含まれる。

    オープニング、壁にモザイクで人々の群像が描かれた雨のブルガリア共産党ホール(パンフレットで知った)が美しかった。
    あまり廃墟に詳しくはないけれど、教会や監獄など「かつてそこにあったはずの営み」が想像できる場所も多く、そこに思いを馳せながらずっと観ていた。途中ちょっとダレるけど、廃墟の映像に集中出来ない時はぼおっと考え事するのにもぴったり。

    音楽は無いけど、そこにある自然音は物凄く存在感を主張している。更にナレーションが無いことにより、だんだん廃墟そのものよりもそれを内包する自然の方に意識がフォーカスされる。廃墟はそこにあるのに、それとは関係なく、自然はあるがままそこにある。鳥の鳴き声、海、潮の満ち干き。打ち付ける波。生い茂る緑、雨の音。強い風に揺れるものたち。

    そしてそれを認識するとともに、逆説的に人間という生き物についても思いが行く。人間がつくったものは、人間が手を入れ続けないと朽ち果てるという絶対的な掟。そこに人間のはかなさも美しさもあるのかもしれない。場合によっては愚かさの象徴でもある。すごく示唆的な映画だと思った。

    シーンの切れ目切れ目、チャプター的な感じで真っ黒なショットが入るのだが、エンディングでは雪が覆ってホワイトアウトしてそのまま終わっていくのがとても良かった。

    どうでもいいけど同じ回に水曜日のカンパネラのコムアイちゃんが来ていた。確信無いけどたぶん。さすがや。
    mimitakoyaki
    mimitakoyakiの感想・レビュー
    2017/05/06
    3.6
    廃墟めぐりをする程ではないけど廃墟に不思議な魅力を感じる者としては、こういう廃墟ばっかりひたすら映した作品はワクワクさせられます。

    美しいモザイクの壁画に水が滴る。
    所々タイルが剥がれ落ちてはいるけど廃墟とは思えない美しさです。
    ところが広角で映すと床には崩れ落ちた屋根板が散乱し水浸しになっているんですね。
    かなり立派なホールのようだけど、もう何十年も放置されてるようです。

    廃墟おもしろーーー!と心を掴まれていると、次に映ったのは見慣れた日本語の看板。
    どこかの駐輪場で自転車もたくさん止められていて、でも通路に倒れて雨ざらしの自転車もあって、廃駅には線路に雑草が生い茂っている。
    普通の住宅街のようだけど一切の人気がなく混乱していたら、すぐにここが福島だとわかって悲しくなりました。
    一瞬にして忽然と人が消えたような街。
    さっきまで普通に人々が生活を営んでいた痕跡がそのまま残されているけど、あれからもう何年も経って時が止まってる街。
    だけど自然だけはその後もあり続け、元がどんな場所だったかわからないくらい草に覆われている場所もありました。

    浜辺の遊園地、大きなショッピングモール、映画館、ボーリング場、レジャープール…、今は誰もいなくて朽ち果てた場所でも、かつては人が集まり賑わい、多くの人の思い出のひとつになってた場所なんでしょう。
    人々の笑い声や話し声、BGMや足音などが聞こえてきそうな不思議な感覚です。
    廃墟を見てるだけなのに、そこになぜか物語を想像してしまいます。

    日本が誇る廃墟の王様?軍艦島も登場してました。
    建物だけでなく、戦争が終わってからも放置されたままの戦車や砲台などもあり、歴史にも思いを馳せます。

    数年、数十年かけて雨風にさらされながら少しずつ朽ちていく建物や街、自然に還るように。
    考えてみると、ここにこんな場所があったという痕跡が残っているだけでも幸運なのかもしれません。
    建物が取り壊され新しい建物に変わると、前の光景が思い出せないことってよくあります。
    毎日見てたような場所でも、忘れ去ってしまうのもなんだか寂しいものだと思ったり。

    自然の音が強調され、まるで人類滅亡後の世界のような不思議な光景と廃墟が醸し出す独特なノスタルジーにどっぷり浸れました。

    62
    studioPkids
    studioPkidsの感想・レビュー
    2017/05/06
    3.1


    かつては人で賑わったであろう
    何らかの施設…
    お馴染みの赤に黄色のmの看板もある

    朽ち果てて行く人工物

    本作にはセリフなど無いが
    自然の音が廃墟には充満している。
    鳥や虫、植物など生命の音も聞こえる。
    なので
    絶対に音響の良い劇場で観るべき‼
    まるで新海監督の作品のようじゃないか。

    何でしょうね?
    盛者必衰の理には
    人の心を揺さぶる何かが有るのでしょうか?
    あぁなってしまわぬよう
    無意識に不安を覚えるためなのか
    静かに朽ちて行く廃墟には
    命のエネルギーを感じ
    眺めていると落ち着かないのに
    眺めずにはいられない。
    これこそ、怖いもの見たさという
    人が持つ本能だと思う。
    見ることで恐怖の正体を知り
    対策を思い付き、自身の安全を確保するのだろう…

    まったく意識していたワケではないけど
    結構無意識に廃墟巡りをしていた自分がいる。
    昨年も廃墟ツアーに出ようとしていた。
    結局、
    4件中3件に
    所有者、もしくは管理者からの許可がおりなかった
    なので泣く泣く諦めた。

    ・・・廃墟マニアだったんだ(-.-;)(-.-;)ヤベッ

    つまり本作と出会ったのは必然‼

    皆さんも静かに向き合ってみてください。


    ただね
    ラストシーンはあそこじゃないな
    ’`,、(’∀`) ’`,、
    マデロ
    マデロの感想・レビュー
    2017/05/05
    2.4
    2017/5/4 シネ・リーブル梅田 劇場1 E-9
    eddiecoyle
    eddiecoyleの感想・レビュー
    2017/05/04
    3.9
    一点透視図法だかシンメトリーだが知らんが徹底的に厳格なショットで人口物が自然に侵食されていく様を次々と叩きつけて「廃墟」を再定義するのが発見の快楽っつーか『いのちの食べかた』と同じく気持ちいいのよ。冒頭に出てくる「少し前まで人の生活してた跡のある駐輪場やパーキングにスーパー、自販機」が福島だと気づくのに時関を要した自分が恥ずかしいのだが、その記述を極力排したパンフレットの言論統制感は更に恥ずかしい気持ちにさせられてゲンナリした。
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