バンバンビガロ

テレグラフ・ヒルの家のバンバンビガロのレビュー・感想・評価

テレグラフ・ヒルの家(1951年製作の映画)
3.5
後年は数多くの大作映画を手掛けてハリウッドの巨匠枠に収まったロバート・ワイズだが、実はこのくらいのフィルムノワールの小品で手堅い仕事をするタイプの監督でもあると思う。
主人公は強制収容所で死んだ友人の身分を偽ってアメリカの富豪の家に潜り込むことを画策するのだが、後継ぎである少年の後見人であり現在の主人であるアランも財産を目当てに家に入り込んだ侵入者であることが判明する。つまりこの映画はどちらも家に対する正当な権利を持たない侵入者である二人が対峙するという話で、ある意味では家そのものが影の主人公であり『テレグラフヒルの家』というタイトルもそれを示唆しているように思う。
またこれは戦争によって家と家族を失った難民である主人公が自らの家を再び手にするという話でもあり、上質なサスペンスの中に当時の社会問題を織り込んだよくできた映画である。
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