タマル

怪盗グルーのミニオン大脱走のタマルのレビュー・感想・評価

2.6
ミ ニ オ ン 関 係 ね え ぇ ぇ !!!
以下、レビュー。


「sing」への周囲の評価が大変高かったため、イルミネーションブランドの力を確認するために鑑賞。
はっきり言って期待を大きく裏切られました。

もちろんアクションシーンのアニメーションは文句なしに大迫力でしたし、活き活きと動き回るキャラクターたちは、まさしくアニメ(活発)として本懐を果たしているとは思います。

しかし……これだけは声を大にして言いたい!!
この構成のアクション映画は完全に賞味期限切れなんだよ!!!
大アクション➡︎葛藤➡︎決戦 の流れなんてもう見飽きてんだよ! 先が読めて全然面白くねぇわ。
やるにしたって、もっと分からないように気ぃ使ってくれ!!
正直、2017年にもなってこんなメソッドアクション映画は観たくないのですよ。。。

なぜこんなに構成が目についてしまうのだろう、と考えていくと、これはもう偏にストーリーの作り込みが雑すぎるためだと言わざるを得ません。
キャラクターの行動や状態を見ていけばわかり易いと思います。

なぜドルーは足を引っ張るの?
なぜルーシーは無神経な発言をするの?
なぜミニオンズは監獄に収監されたの?
なぜアグネスはぬいぐるみを売ったの?
そもそも、なぜグルーはクビになったの?

これらの理由はたった一つ、作り手側の都合です。構成上、2幕目にはキャラを葛藤させなくてはならないし、アクションはさすぺんすで引っ張りたいから「そうしなければならない」というだけなのです。
構成に従って面白い事件をその場その場で起こしているだけで、事件に文脈上の必然性やキャラクターとの合理性は何もないという事です。こういう映画がうまくいった試しがありません。
文脈を無視した結果、この映画は物語が進行していくにつれどんどん話が分裂していきます。話が分散すれば当然キャラクターへの比重も分散していき、最終的には構成上ストーリーは閉じられても個々の問題を回収しきれないため、擦られすぎた構成だけが浮き彫りになってしまうのです。

一つ具体例を挙げたいと思います。
ルーシーの話です。
彼女は継母であり、娘との関係性について葛藤しています。
彼女の葛藤・問題は彼女が終盤に取る「ある行動」によって解消・解決することになります。
つまり映画のテリング上、観客に対してルーシーが「成長」を遂げたと感じさせられれば成功なわけです。

しかし、私はそう感じ取ることは出来ません。
だって仮に冒頭の彼女がいきなり終盤と同じあの展開に置かれた場合、「ある行動」を取ることは出来ないのでしょうか。
私は迷いなく取っていたと断言します。なぜなら、彼女はもともと「そういう奴」として描かれていたからです。

本当は問題など何も起きていなかったし、解消などするはずもなかったのです。当然、成長する伸びしろもありません。
あるのは、恣意的に起こされた葛藤だけ。これでは形式的に解決された「体」を取っている「ように見える」だけで、彼女に共感して喜びを分かち合うなど出来るわけがありません。

事程左様に、話の分散が今作の軸にある「アクション映画」としての面白みも殺してしまっているように感じました。
イルミネーションは一作目なので決めつけは出来ませんが、私の中では「この程度か」ぐらいの印象がついてしまいました。
一作目としてこれを観るのは、オススメいたしません。
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