コミヤ

いぬやしきのコミヤのネタバレレビュー・内容・結末

いぬやしき(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

敢えて「レディプレイヤー1」じゃなくて「いぬやしき」鑑賞。
「アイアムアヒーロー」で日本中の映画ファンを驚かせた佐藤信介監督最新作。ブリュッセル国際映画祭グランプリということで期待値マックス。

抑圧され居場所が無くなったおっさんと行き場のない怒りや鬱憤から破壊衝動に駆られる青年の戦い。突然手に入れた力を一方は人助けに、もう一方は殺人に使う。そんな2人の戦いを日本でしかできないような独自のストーリーとアクションで描く。

この映画は要するにおっさんの生き様を見て青年が生きる希望を取り戻す話だったように思えた。
原作は途中でやめちゃったし他の作品はGANTZしか読んでないけど奥浩哉作品には共通して「人間には誰しもが本能的に残虐性や破壊衝動を持っているが同時に他者を思いやることのできる心が必ず存在する」という人間賛歌的なテーマが込められてると思う。
この映画でもそのテーマを受け継いでいたとは思うけど、描き方の問題でそれがあまり伝わってこなかった。

オープニングの犬屋敷の孤独描写が少し浅かったので漫画のように即感情移入とはならなかった。(原作である犬屋敷が牛丼屋で夕食食ってるところを息子に冷たい目で見られるシーン再現して欲しかった)
彼があんなに冷たくあしらわれてる家族をそれでも愛し続ける動機が伝わりづらい。なのでベタだけど回想シーンを挟むなりして幸せだった時の頃を描写する必要があったのではと感じた。
獅子神もお母さん大好き描写が過剰だった。佐藤健の演技力もあってかなり恐ろしいキャラクターだったのでこの描写はもう少し抑えるべきだったと思う。前半から早く出し過ぎてたからもっと中盤くらいまで引っ張った方が良かったのでは。(母の訃報を聞いた彼がエンエン泣いてる様子なんか見たくなかったし彼の背中を映すくらいに留めた方が効果的だったように思った)
犬の花子、本郷奏多、二階堂ふみの役柄もなんか適当。

でも佐藤健の佇まいや空虚な目が最高。超ハマり役でした。彼の極悪人ぶりがたまらない。特に新宿での大虐殺シーンは本当に恐ろしい。本作は全年齢対象だけど規制かかるギリギリまでの攻めた暴力描写になってる。
あと「何者」のタクトと同じ「さむいよな」って台詞言ってたのは完全に意識してるよね⁉︎
木梨憲武は少し演技がオーバーだった気がする。喋らなくていいところも喋っちゃってたし。
本作みたいな二階堂ふみも可愛い。

文句はあれど日本映画でここまでの空中戦を見られてそれだけでもう感動。tohoシネマズ新宿で観たのだけど自分がいるすぐ近くが戦いの舞台になってて余計興奮した。

にしても東宝の題材の目の付け所と監督に至るまでのキャスティング力は凄い。海外でも通じるような大作映画を作れるという点においては他の映画会社よりも抜きん出てる。
コミヤ

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