えばら

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのえばらのレビュー・感想・評価

4.2
本作に出てくる台詞「アメリカは簡単に敵を作る」とは、言い得て妙なのかもしれない。
トーニャごめん、めっちゃ楽しませてもらいました。
日本でも人気のフィギュアスケート。そんなお淑やかで品性が問われる競技に、殴り込みをかけた実在の人物トーニャ・ハーディングの物語。

労働階級から上流階級が好むスポーツに挑むという皮肉がトーニャを苦しめていた。その視点が新しかったし、フィギュアなのに小汚い印象すら覚えるほどにアウトローだった。
それを叶えたのは本作の演出だと思う。
テレビとかでフィギュアが中継される時はステディカメラで撮るけど、本作はカメラが動きまくる。おかげさまでトーニャは「芸術点が低い」と言われるレベル。
でも、彼女の足を引っ張る人間とのシーンは逆にステディが多め。まるでそこから逃げられないかのように。

小気味良いカットも全編を通して流れる名曲も、色んな意味で皮肉が効いていて良かった。エンタメ作品としてのレベル高すぎる。
そして、マーゴット・ロビーの百面相に酔いしれる。
この監督、『ラース』が大好きだからこれも観たけど全く違う手腕を魅せてくれる。そしてやっぱりツボでした。
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