アキラナウェイ

ザ・ウォールのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ザ・ウォール(2017年製作の映画)
3.1
残業!疲れた!映画観る時間ないやん!
チクショー!今日は何せ短い映画を!
イエス!これ!ザ・ウォール!
きっと退屈!でも90分!
これでいい!観る!

…壁を見つめる90分。

うん。そうだね。ワンシチュエーションだしね。
想定した通りの退屈さは確かにあるね。

イラク戦争も終わりに近付いた2007年、アイザック(アーロン・テイラー=ジョンソン)とマシューズ(ジョン・シナ)は敵の狙撃手からの奇襲を受け、アイザックは一枚の壁の裏側に身を隠す。絶望的な状況で彼らは無事生還出来るのか。

狙撃手のモデルとなったのは実在したイラクの狙撃手"ジュバ"。75人の米兵を狙撃した"死の天使"である。このジュバを知っていれば、もっと楽しめたかも。
ええ、もちろん知りませんでしたとも。

止血できない傷口。
尽きてしまった水。
アンテナの壊れた通信機。

絶望的状況でありながら、ピンチを乗り越えていく主人公の行動一つ一つにあまり知性は感じられず、頭脳戦と呼ぶ程の展開がない。

何せ、動かない。
動けば撃たれるから。
そして繰り広げられるアイザックと狙撃手の会話劇。

なんてお喋りな狙撃手だ。
これもまた緊張感を削ぐ。

このお喋りにも意味があり、終盤の展開のヒントにもなるが、ラストのオチが個人的にはもっと大きなどんでん返しであって欲しかった。

アバンタイトルでThe Wallの題字はアラビア語も併記され、そこにはセンスを感じた。壁を隔てて、こちら側のアメリカと向こう側のイラクの対比。狙撃手が語るイラク側から見たイラク戦争の現実は的を得ているし、共感出来る。

ただ、全般的にはやはり小ぶり。
小ぶりなイラク版フォーンブース。