もちもち

犬ヶ島のもちもちのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
5.0
犬インフルエンザが流行する近未来の日本。メガ崎市の小林市長により、犬達はゴミ島へ追放されてしまう。愛犬スポッツを探して1人ゴミ島へやってきた市長の養子であるアタリは、5匹の犬達に出会い、共にスポッツを探す旅を始める。ウェス・アンダーソン監督によるストップモーションアニメ映画としては2作目の作品。相変わらずの美しい画作りとシュールさが混在したウェス・アンダーソンワールド全開の映画だった。しつこく多用されるシンメトリーな画面構図に水平移動するカメラワーク、同じリズムで鳴り響く音楽。中毒性のある独特の世界観がかわいくていつまでも見ていたい。今作はカラフルな色使いは抑えめで、ディストピアっぽいダークさが目立ち、その中に同居する美しさに目を惹かれる。キャラクターのビジュアルや動き、背景の一つ一つまでほんとに細かく緻密に作り込まれていて、絵本のようなキャッチーさと絵画のような壮麗さがある。何度も一時停止しながら見返したい。日本の描かれ方も非常に面白い。近未来の架空の市という設定だが、昭和チックな日本像が溢れている。ステレオタイプ的な描き方ではあるが、日本文化を正確に捉えているところも多々あり、独特の違和感というか、日本人が見ると凄く楽しめると思う。寿司を握るシーンのカニの足寿司はアメリカナイズドされたものだけど、タコ足を捌く前にすりこぎ棒で叩いているとこは日本文化をよく捉えている、とか。浮世絵描写や和太鼓なども印象的に差し込まれ、日本文化の良さが上手く表現された映画だと思った。ストーリーは淡々と進む御伽噺的な感じで、サラッと見れるんだけど、現代社会に通ずる皮肉とも捉えられる部分もあるのが面白い。黒澤明や宮崎駿作品に影響を受けてるらしい。宮崎駿の「静の演出」を意識してるとのことで、確かに最後の花びらが顔に付くシーンとか、ジブリ的なしっとりとした美しさがあった。ビル・マーレイ、エドワード・ノートンといったウェス・アンダーソン組に加え、スカーレット・ヨハンソン、日本人キャストも渡辺謙、夏木マリ、松田兄弟、オノ・ヨーコまで出てる超豪華キャスト。
もちもち

もちもち