ピンクマン

犬ヶ島のピンクマンのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.8
日本へのリスペクトが詰まっている作品。最初に出てくる神社の人は完全に「乱」の仲代達矢。小林市長のモデルは三船敏郎なのが一目瞭然。劇中に七人の侍のテーマソングも出てくる。黒澤明監督へのリスペクトが各所に見られる。そして、ゴミの島は「お台場」か「みなとみらい」のオマージュだろうか。地震や噴火や津波などの災害も取り入れている。全体的には、現代的な日本というよりかは、80年代くらいまでの日本をごちゃ混ぜに再現したような感じだ。この「ごちゃ混ぜ」が不思議な世界観で面白い。

アニメーションなので、演出が1番の見どころであり、1番の良いところだった。犬の毛並みの細かさやストップモーションの細かさはさることながら、立体的ではなく舞台劇のような平面的な映像が終始見られる。その平面的な映像を前後の配置関係をうまく使って遠近感を効果的に出している。あと、犬の会話は大袈裟にすることなく、ボソボソと会話しているのもまた面白い。チャプター仕立てのところとか、無駄に筋の通そうとしている言語関係の注意書きとか、争う時に「トムとジェリー」のように煙が出てボコスカする表現とか、太鼓のBGMが高揚させているところとか、演出に関して言えばキリがないほど良いところがあり、いちいち細かい部分でユニークで見ていて面白い。

ストーリーはアドベンチャーと言いながらも、かなり社会派。主人公が飼い犬を探しに行くストーリーと並行して、犬が政策によりゴミダメの島に送られた陰謀を暴き出すストーリーにもなっている。権力に癒着し、人々を陰謀の渦に落としこむ人間を、それを正義感の強い純粋な高校生たちが暴こうと止めるというストーリーは、なかなか楽しめた。

それから……犬がめちゃくちゃかわいい!ホントにかわいい!人間に裏切られ捨てられても、お座りって言われたらお座りしちゃうところとか、人間に飼われるなんてまっぴらだって言ってる野良犬がコロッとアタリのことをすぐ好きになって尽くしちゃうところとかが、悲しいくらいお利口さんで、かわいかった。 笑

ストップアニメーションの名作。
ピンクマン

ピンクマン