たぼ

デ・パルマのたぼのレビュー・感想・評価

デ・パルマ(2015年製作の映画)
4.0
脚本家、俳優、そして配給会社それぞれの視点や考え方を取り繕い、その中でいかに自分の納得の行く作品を仕上げるか、、。
当然ながら、非難される時もあるだろう。
それでもなお、その渦中で監督の自分はどう有るべきか。
自分が描いたイメージ通りに完成させるという、絶対に妥協できない作品に対する熱い想い。

そして、デ・パルマが監督の道を志す切っ掛けとなったヒッチコックの撮影手法を積極的に駆使し、その中で新たな手法を追求し続ける。

デ・パルマ曰く
「視覚効果を使うと楽だが同時に問題も孕んでいる。
今や誰もがVFXの専門家に任せてしまう。
すべてパソコン上で作った結果、生まれるのは大量の陳腐な映像だ。」

残念ながらまさしく今がその通りになりつつある、という現実。
より良い作品を撮ろうとする監督の揺るぎない信念と、何よりも興行収入に重きを置く配給会社との軋轢と矛盾。
なかなか難しいものだ。

時代が変わろうとも、名作というものは決して色褪せないもの。
その色褪せない“名作”は如何にして産み出されたのか。
そこに映画というものの真髄が確実に在ると私は思う。
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