ねぎおSTOPWAR

バッカス・レディのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

バッカス・レディ(2016年製作の映画)
4.0
「ミナリ」でアカデミー女優となったユン・ヨジョンさん主演の2016年の映画。
これまた各賞を取りまくった作品です。まーKAFA製作なんで、その時点である程度の反響は確保されているような状態ではありますが・・。
それにしてもなかなかライトの当たらない”高齢者の性や死の問題”がテーマですから、意欲作です。

今回のユン・ヨジョンさんは高齢者相手の娼婦役。
部屋を間借りしている先の大家はティナ・・おそらくトランスジェンダーで今は女性として暮らす人。隣の部屋を借りているのは右脚が義足の彫刻家ドフン(ユン・ゲサン)


監督のイ・ジェヨンさんはデビューが「情事an affair」二作目が「純愛譜」(共にイ・ジョンジェ出演の)、続いてペ・ヨンジュン、チョン・ドヨン出演の「スキャンダル」と作ってきた方。今作は8作目です。

立ちんぼをしていたのは光化門から東に2ブロックの鍾路(チョンノ)付近タプコル公園の様子。周辺はいわゆる昔ながらの飲み屋街!安い店が多いからシニア層が多くいるという・・。

以下ネタバレです。







生きるために、瓶拾い・・日本で言うと空き缶集めをするのは嫌だと。しかし老人に仕事もなく、仕方なく高齢者向けの売春をしているわけです。
冒頭いきなり淋病を感染されて怒るわけですが、結局のところ彼女は高齢者の心を癒していたんですね。体ったってそうそうガシガシ腰を動かすことも出来ないわけで、そのうち話はどんどんと深いところへ迫っていくわけです。
認知症や、半身不随、年齢と共にいろんな不具合はやむなく、みな生きているのが嫌になってくる・・。最初は懇願されたから。次も説得され、そして・・覚悟もしていたでしょう。自殺幇助罪なのかな。最初のを蒸し返されたら殺人罪も付いてくる。

そもそも生まれて間もなく子供を手放した後悔もあり、だからこそハーフの男の子を放っておけない。
妻に先立たれ・・子供がいても関心は遺産ばかり・・高齢者の孤独と刹那を描き切った見事な作品!!



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