hajime363

夜明けの祈りのhajime363のネタバレレビュー・内容・結末

夜明けの祈り(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

原題:Les Innocentes
直訳すると「無垢な者たち」になるけど、キリスト教由来の文脈もあるらしい。以下、付け焼き刃の知識。ありがとうGoogle。
新たな王(救世主であるイエス)の誕生を預言者に聞かされた治政者であるヘデロ王が“2歳以下の子供”を皆殺しにしたエピソード、が聖書にはあるらしい。

良い映画でした、起きている事象は重たいんだけどテンポが凄い良くて前のめりで観ちゃう。
テーマ的な主軸は信念と罪の概念のように感じました。

◆信念
シスター達の信仰心(罪、恥の概念も含む)、マチルド(医療従事者)の命を救うことの正義。
それらが“意図に反して誕生する命”をモチーフに対立(矛盾)構造をとる。
一方の主張を押し付けあうのではなく、尊重し合って最適解を模索していく姿勢は見ていて心地よかったです。
信念を揺るがす環境要因(試練)と、それらに悩み自問自答を繰り返す様、そして乗り越える人間的な強さ。良い映画!
答えを“母性”に求めると見せかけて、それぞれの選択を提示する感じ好きです。

「信仰というのは、最初は子供と同じ、父親に手を引かれて安心する。そしてある時、父親が手を離す時が必ずやって来る。迷子になるの。」
シスター院長の右腕的存在のマリアが言うこの台詞が印象的でした。信仰心に限らず、人生色々見失っちゃうよね!

◆罪(恥)の概念
“無垢な存在”としての子供と、色々悩んじゃう大人の対比。
棺桶に乗って跳び跳ねる子供達を止めさせようと試みるも諦めるマチルド印象的。
意図しない命を産むことも、救えた命を失ってしまうことも、はたまた貞操を守るのも自由な恋愛を楽しむことも…罪(恥)かどうかを解釈するのは人間なので無垢な存在としての人間への寛容さが必要かも。信念も大事だけど。

そして、母であるということは“事実”なんですね。
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