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許された子どもたちのWataのレビュー・感想・評価

許された子どもたち(2019年製作の映画)
4.0
怒り。殺意。悪意。苛立ち。

衝動。


陰鬱な暴力性に、殴られ、傷つけられ、ずたずたにされる。

傍観者が期待している方向に決して進みはしない物語の重さと、いじめを取り巻く負の感情の渦に飲み込まれる作品でした…!

贖罪も赦しも、救いも無さすぎる…。

そして、加害者が語る"再生"。



悔しい。
被害者だけではなくて、それを取り巻く状況全てが。


加害者、加害者家族、被害者、被害者家族。
そしてそれらを取り巻く、学校、同級生、近所、ネット、社会。

正義を振りかざした盲目的な暴力性で、全ての人が衝動的に人を傷つける。



罪を犯した子どもが、更生の余地があるのか、更生の余地なく厳しく裁くべきなのか、その判断をするのが難しいですが、この作品を見ると、事実はどうであれ全ての子供を保護観察にするくらいには強制力があってもいいのではないかと思ってしまいます。


そして、話の重さもさることながら、演出のザラつき加減がえぐいです…!

視野の狭いカメラワーク、淡々と状況のみを映す早回し・コマ送り、乱暴な文字表現、ガンガン頭に反響する音楽。

ざらついた演出による陰鬱な空気がずっと漂って、こんなにも暴力性が物語を支配するとは…!


"いじめに対する問題提起"、なんて軽い言葉で表せる作品ではなくて、作中ひたすらに喉元に刃物を突きつけられる、脅迫にも似た圧力を持った作品でした…!
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