こんろ

三度目の殺人のこんろのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
5.0
是枝裕和監督と役所広司の欲張りセット。そして殺人サスペンスかと思いきや、まさかの法廷サスペンス。かと思いきや!!な作品。

いやもう最高の作品です。久しぶりに心が震えました。役者さんもみんな最高ですよね。役所広司は言わずもがな、福山雅治も電話のシーンとか最高でした。

この作品ネタバレしないと語れないですよね...
以下もう豪快にネタバレしてます、ごめんなさい。








**以下ネタバレ**








これは端的にいうと、神による、神になりたい人間への問い、でしょうか。人を裁くシステムを作った人間と、神の器となった三隅。何ですかエヴァですか。

観ている私たちも、彼がやった?いや彼女だ、いや共犯だ、いやいや無罪だ。と、考えを巡らせますが、これこそがこの作品のテーマなのかなと思います。
終盤ではたと気付くのは、全て関係者の証言のみで裁きが下るであろう現実。何が事実で、何が嘘かわからないまま。

面会室でのやりとりは最高ですね。どっちが問うてる側なのか、入れ替わり、映り込み、重なり、離れる。人が一瞬、神の領域に踏み込んだかのような演出が素敵です。

また、タイトルの意味にはいろんな考察がありますが、手を下した役所広司、殺意を持った広瀬すず、システムで殺した福山雅治、という三度なのかなと思います。ポスターを見ても、意図するところはそこかなと。

しかしながら、役所広司に神的な演出(器、後光など)をする事で、これはこれで「是枝監督の善悪ラインを執行するエゴな神」になるのでは、という気もしてしまいます。
ラストシーンは、クロスロードの真ん中に福山がいる事で、もしかしたら悪魔だったのかもよ?という、監督の保険のようにも感じてしまいます。


エンタメの枠の中で何かを問う、という表現方法の難しさを感じます。バカみたいな娯楽映画も大好きですが、こんな試行錯誤する作品も心から愛してます。よかったです。