さうすぽー

三度目の殺人のさうすぽーのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.0
初めこの映画を観たときは、「何だよこれ、動機とか一連の真相を全く解らせないで終わらせるとか無責任だろ!」と怒りを感じ、2017年に観た中でワーストクラスの作品だと思っていました。

しかし、日本アカデミー賞で作品賞を受賞したと聞いて、何故この作品が評価されたのかを改めてこの作品について思い出しながらもう一度観ました。
その結果、「真相が解らずじまいで終わってしまう」という事そのものが評価されたのだと感じました。

実際問題、司法というのは結局証言台に立つ人の証言だけで判決しなければならないので、ある種の限界が生じてしまいます。恐らく冤罪等も少なからず起きています。裁判の難しいところですね。

そして、この映画では自分達の都合の良いようにみんな証言してしまうが、それが全て真実だとは限らない。だから真相は闇に埋もれてしまった。

そういったところが評価されたのだと思うのですが、そう感じたときに自分はこの作品はどうあっても好きにはなれないなと悟りました。

ただ、キャストは概ね良く、福山雅治は普通でしたが、役所広司の不気味な存在感と広瀬すずのミステリアスで哀愁を帯びた演技はとても良かったです。

音楽が洋画の「ブラックスワン」、「最強のふたり」を手掛けたルドヴィコ・エイナウディという方だったり、美術監督がタランティーノ作品等の洋画も多くやっていて僕も大好きな種田陽平氏だったので、邦画ではあるけど洋画テイストも出てたので新鮮だと思ったりしました。

素晴らしい部分は多いし、個人的に是枝作品は好きなのですが、僕はこの映画は好きにはなれませんでした。
個人的にモヤモヤさせるよりもきちんと真相を明かす方が好きです。
だから、これは好きじゃないけど、良い意味で考えさせられる映画です。
一応下に採点はしてますが、これに関しては評価が非常に難しいのであまり点数は参考にしなくて大丈夫です。

自己採点 60点

追記
別作品ですが是枝監督、パルムドール賞おめでとうございます!