ちろる

空(カラ)の味のちろるのレビュー・感想・評価

空(カラ)の味(2016年製作の映画)
3.6
摂食障害の女の子のせかい。

摂食障害になったことはないし、全く知識もないからなのか、結果的にこれを観てもこの障害をわかってあげられなかったのは少し残念だけど、丁寧に作られた、とても繊細なお話。

多分、摂食障害がちょっとダイエット感覚っていう軽いものから、強迫観念的な重いものまで幅があると思う。
どうせ映画で描くならばもっと壮絶なものを欲しがってしまうのは私の悪い癖だな。

ただ、ヒロインの堀春菜さんは初めて拝見したがとても良い。
そしてマキさん役の女優さんはもっと良い。
ボヤッとした雰囲気の作品のように見えた物語が、マキさんの存在によってガラっと色合いが変わる。
あの絶妙な雰囲気、ぞわぞわしたなぁー

誰かと一緒に居ても内面世界に入り込んでしまうようなそんなヒロインの浮遊したような魂が見えるような気がした。
静かな苦しみの演技が痛々しく響きます。
大切な青春の時期、形のない大切なものを失ってしまったような喪失感。 
それを埋めることが出来るのはもしかしたら身近な人ではなくて、同じ痛みを理解できるちょっと遠い人なのかも。
何もかもが繊細な描写、気を抜かず、ヒロインと一体化できるように一気に観た方がよさそうなそんな映画。
彼女と同じ摂食障害の人はどんな風に感じるのだろうか?
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