いずぼぺ

ヒトラーに屈しなかった国王のいずぼぺのレビュー・感想・評価

3.4
映画として面白いか、ではなく1940年4月ノルウェーで何が起こっていたのかを学ぶ作品。
恥ずかしながら知らないことだらけで、ウィキ先生に質問しながらの鑑賞となりました。
①ノルウェーがずっと独立国家だったわけではなく、デンマークやスウェーデンに支配され続け、1905年に独立し主権国家となったこと。その際に立憲君主制を選択しデンマーク王家よりカール王子のちのホーコン7世を国王として迎えたこと。(その系譜は現在もノルウェー王家として存在)
②ナチスドイツは1940年首都オスロにも侵攻し、王家と当時の内閣は地方都市へと避難。
その間に親ナチ政権が樹立し、国王はこの政権を認めずナチスドイツとの交渉が決裂。以後、ノルウェー新政権は数ヶ月のうちにナチスドイツに降伏。王家は王妃(🇬🇧ジョージ7世の姉妹)の実家であるイギリスに亡命。ロンドンから反ナチ運動を支援、鼓舞し1945年ナチスドイツが連合国に降伏しノルウェーが国家主権を回復した後に再度国民からの支持により帰国したこと。
③このときの皇太子オラフはなんとオリンピック金メダリスト。その息子のハーラル5世は母方のスウェーデン亡命ののちアメリカに亡命。ホワイトハウスに居候していた時期もあったようだ。

と、まあ世界史の授業で語られていてもちっとも頭に入らなかったことが、映画なら入ってきちゃうのよね。
閑話休題

作中演出もモリモリ入ってるんだろうけど、ホーコン7世は常に息子の問に答える。
立憲君主制である以上、国王が国家の方針を決めてはならない、それは国王の意思であって国民の総意ではないからだ。それは民主主義ではない。と、息子を諭す。
そんなホーコン7世が一度だけ国王として政治に介入したのはナチスとの交渉を決裂させたこと。開戦すれば多くの国民が命を落とすこととなるが、傀儡政権を受け入れればせっかく独立で手に入れた国家主権を再びうしなうこととなる。この重い選択で悩む数日間を描いた作品。
立憲君主制とは、民主主義とは、主権国家とはが、わかりやすく描かれている。

現国王ハーラル5世が王妃をノルウェー初の民間女性を王室に迎える際に、できるだけ穏便に国民の理解を得るために参考にしたのが、現上皇后美智子様のお輿入れだったそうだ。余談。
もっと余談。現王室の王女の一人が霊媒師と結婚したんだってね。
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