赤足

ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれたの赤足のレビュー・感想・評価

3.4
2013年に発生したボストンマラソン爆弾テロ事件の被害者の実話を基に製作され、テロに巻き込まれ両足をなくした主人公ジェフがさまざまな苦難を乗り越えていく姿を描いた作品。

まだ記憶に新しく、当時かなり衝撃を受けた事件をジェイク・ギレンホールがプロデュースと出演を務めており、マーク・ウォールバーグ主演の「パトリオット・デイ」とは違った視点の物語でこちらは被害者が、自身の身に起こった悲劇をどう克服していくかまでが描かれている作品である。

ここだけ聞けば感動的で泣ける話と思うが、この作品はお涙頂戴物とは違い、描写がリアルであった。近年、日本でも目にする被害者に対する過激な報道やマスメディアによるセカンドレイプは目に余るものがあり、特に米国というお国柄特有の悲劇を美談に祭り上げる風潮は、ただの一般市民であるジェフにヒーローというレッテルを貼り付ける事で、当の本人の気持ちなどはお構いなしという部分は見てて酷かった。

だが、それに甘んじるように次第に堕落していく主人公のジェフの自分は被害者なのだからみんなが優しくしてくれて当たり前と言った。上から目線や彼女に対しての態度や傲慢さは呆れ果てるほどで、鬱屈して自分の殻に閉じこもり見事な屑っぷりを演じたジェイクには拍手を贈りたくなった。...しかし、人間どん底まで堕ちたら、後は這い上がるのみ(笑)新たに本当の自分自身を見つめ直し、自分1人の力ではなく周りの力に生かされながら生きていると実感していく演出は感慨深く、そして同じ境遇の中で彼に声を掛ける幾人もの人達のシーンではついついグッときてしまった。ラストは王道的な希望ある締め方でいかにも米国らしく、伝記ドラマお決まりの後日譚や本人達の写真はとても印象的であった。
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