公益よりも私益に走り、権力の欺瞞を追及しない大手メディア。それに抗い、鋭い調査報道で真実を伝えるフリー・ジャーナリストたちが今、世界を変えようとしている。彼らに多大な影響を与えたのが、1940~80年代に活躍した米国人ジャーナリスト、I.F.ストーンだった。ストーンは“すべての政府は嘘をつく”という信念の下、組織に属さず、地道な調査によってベトナム戦争をめぐる嘘などを次々と暴いていった。本作では、そんなストーンの報道姿勢を受け継いだ現代の独立系ジャーナリストたちの闘いを追う。映画監督マイケル・ムーア、スノーデンの取材で知られるグレン・グリーンウォルド、哲学者のノーム・チョムスキーらが、真実を隠蔽する政府と大手メディアの問題点を追及する。
ジャーナリストのI・Fストーンの「すべての政府は嘘をつく」と断言して、国家の記録文書などを緻密に調査報道する中でベトナム戦争の欺瞞をつくなど政府の嘘を暴いたジャーナリズムを受け継いで、オルタナティブ・メディアいわゆる独立系ジャーナリストが、大手メディアに出来ない調査報道に力を入れてきた。
市民が運営する「デモクラシー・ナウ!」や企業から資金提供を受けた「ジ・インターセプト」など調査報道に力を入れた独立系報道メディアやジャーナリストは、オバマ政権下でアメリカ軍によるドローン兵器を使用した暗殺任務をアフガニスタンで実行していることを暴いたり、ブッシュ政権がイラク戦争を起こす根拠としている大量破壊兵器などに関する情報を専門家の意見や調査で根拠の不正確さを指摘したり、政府の嘘を暴いている。
何故大手メディアが、独立系報道メディアやジャーナリストのような調査報道をやらないのかというと、大手メディアは目先の視聴率とスポンサー企業や株主の顔色しか伺っていないから、政府や企業に目をつけられる公害や貧困や政治家の汚職や不正よりセレブのゴシップの方に力を入れる。
日本では、大手メディアの会長や社長が安倍首相と会食して手懐けられ、政権批判的な報道をすると恫喝され、政府に忖度する報道がされている状況がある。
政府を見張り、もし不正や嘘が行われているなら報道するのがメディアの役割であることが、よく分かる社会派ドキュメンタリー映画。
「ジャーナリズムとは、真実を報道し弱者を強者から守るもの」