にく

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのにくのレビュー・感想・評価

2.8
D・ロウリー『A GHOST STORY ゴースト・ストーリー』。ギレルモ・デルトロが絶賛し、日本でも何だか評価されていると思しき(なるほど蓮實が絶賛してるせいか)この映画だが、仏『カイエ・デュ・シネマ』誌のシャルロット・ギャルソンは「この設計図の凝り具合にはスノビズムがある。映画が勿体ぶってるし気取っている」とにべもない。
 あとそのギャルソンが出てる仏ラジオのフランス・キュルチュールの『ラ・ディスピュート』の面子が「お化けの中身はベン・アフレック」とか言ってて笑った。
 確かに、ルーニー・マーラがタルトを丸々(半分?)食べ続ける前半のシャンタル・アケルマン風長回しに何の意味があるのか今ひとつ分からないし(いや、まぁ悲しみの表現なのでしょうけど)、ケイシー・アフレックお化けはただのストーカーにしか見えない。つまり、これもギャルソンたちが言う様にこの映画には「他人」がいない。
 面白かったとすればこの映画が『メッセージ』や『インターステラー』、『TENET』等の最近のSF映画と同じ物語傾向(歴史は変えられないし、繰り返す)を持つということだ。後は、タイムスリップした先が西部開拓時代で、『国民の創生』の例のシーツ幽霊を思わせたところ。残念ながら、たまたまのようだが。
 ああ、でも『ピートとドラゴン』をリメイクしたあの監督なのか。やっぱダメかもな。
 今どきネイティヴ・アメリカンを(登場すらさせないままに)完全な悪役にしていたのも気になる。殺戮を行ったのは白人の側だろうに。


フランス・キュルチュール『ラ・ディスピュート』:https://www.franceculture.fr/player/export-reecouter?content=a4bb7355-ceed-48e6-96a3-0ce832cc5a22

劇中に引用されるヴァージニア・ウルフの原文は以下の通り。
“Whatever hour you woke there was a door shutting.”
“"Safe, safe, safe," the pulse of the house beat gladly. "The Treasure yours."”
A Haunted House, Virginia Woolf
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