けまろう

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

『A Ghost Story』鑑賞。ケイシー・アフレックが白い布のチープな幽霊になる話。非常に文学的な作品で、一度で理解するには非常に困難だった。日本では未練がなくなった幽霊は成仏するが、そうした設定は今回の映画にも現れていて、ケイシー・アフレックが幽霊となり、成仏するまでの物語が淡々と描かれる。
ケイシー・アフレック演じる主人公はルーニー・マーラー演じる妻と同居していたが、微妙なすれ違いを迎えていた。そんな中、突然起きた交通事故で主人公は亡くなってしまう。霊安室で悲観に暮れる妻。主人公の遺体はシーツをかけられているのだが、そのシーツをまとってなんと幽霊になってしまうのだ。幽霊として、自宅に佇む主人公。悲しみに沈む妻を静かに眺めることしかできない男。暫くは呆然として食事も喉に通らない妻も、徐々に悲しみから解放されていき、最終的に新しい男を作って家を出て行ってしまうのだが、それを傍目で見ることしかできない幽霊の存在がなんとも切ない。知り合いとなった幽霊も成仏してしまい、自分が住んでいた家も取り壊され、彼は成仏できないまま長い時間を彷徨って過ごすことになる。結局、彼はビルから飛び降りるのだが、それでも死なない!その代わりに、過去にタイムスリップをすることに!(ここら辺はよくわからない)
自分の家が無かった時代まで遡り、長い期間を再び過ごすことを強いられる。そして、建てられた家に嘗ての自分と自分の妻が入居してくるという円環的展開が。嘗ての自分たちの姿(愛し合っていた時期からすれ違い始める時期まで)を第三者から眺める主人公。そこである事実に行き当たる。妻は、家のどこかに手紙を隠すのが好きだったのだ。それは、自分の片鱗、自分が住んでいた事実を家に残すという、マーキングのような行為である。幽霊となった彼は、その隠された手紙を読むことで、彼女の片鱗に触れ無事に成仏するのだった。
ちょっと不都合なタイムパラドックスが発生していた気がするが、そこは本質ではないので触れないでおきます。
けまろう

けまろう