天下の超かぼちゃ王大将軍

ステイク・ランド 戦いの果ての天下の超かぼちゃ王大将軍のレビュー・感想・評価

4.0
「ミスターはそこで何してたんすか」

自分は好きだけど伝わらない映画監督筆頭、ジム・ミックルの「ステイク・ランド 戦いの旅路」の続編。

監督は「ドルフ・ラングレン ゾンビ・ハンター」のダン・バークに代わり、
見た事無いけど不安があった。

前作ほどのインパクトはなく、雑さも目立つけれど、テイストとしては十分に引き継いでいて、それほど世界観を壊す事ない続編って感じになっていた。

作品的には完全なる続編。

吸血鬼が発生し、世界が滅んだあと。

前作は家族を目の前で殺された少年マーティンを、謎のヴァンパイアハンターであるミスターが救う処から始まる。

ポストアポカリプスな世界で、テイストとしてはロードムービー。
マーティンとミスターの関係は父と子のようで、出会う人々との心の交流を経て、
マーティンはミスターと別れ、出会った少女と二人で安息の地へと。

本作はその後。

マーティンが大人になり、あの時の少女ペギーと結ばれて、娘を持つ。
娘の名前は、かつての旅で失った仲間、ベル。

安息の地で幸せに暮らしていたマーティンの前に現れたのは、1作目でも登場したヴァンパイアを崇拝する狂った教団、ブラザーフッド。

それを率いているのは謎のヴァンパイアの女。
ヴァンパイアを統率して、安息の地を襲い、マーティンはペギーとベルを殺される。

物語はここからで、マーティンのヴァンパイア女への復讐の旅というわけだ。

マーティンは復讐にはミスターの助けが必要だと思い、
ミスターを探しに放浪し、やがてアメリカへ。

映画のテイストとしては、やや薄まったものの、淡々と進むロードムービー感は健在。
空気感も前作をある程度引き継げていて、スッと入れると思う。

若干、冒頭の移動シーンは長いが。

ま、それもそのはずで、一応、製作総指揮にジム・ミックルが名を連ね、
脚本はミスター役でもあるニック・ダミチ。

他もほぼ「ステイク・ランド 戦いの旅路」の製作陣で固めてるので、大きく期待から外れる事はないと思う。

何より、出演が前作を引き継いで等身大で成長してるんだわ。

今更ミスターの容貌はそうそう変わらんが、少年だったマーティンが大人になり、
演者は変わらずコナー・パオロ。

そして、冒頭しか出ないのに、ペギー役もボニー・デニソンが演じていて、
ほんと続きって感じで始まるのが◎。

その分、1作目見てない人にはノーサンキューな作品かもしれない。

■「ミスターの登場は若干笑う」

お世辞にも格好いいとは言えないミスターやけど、今回の登場の仕方はちょっと笑った。お前何しとんねんそこで、と。

結局、ミスターがそこで何してたのかは分からず仕舞いで、
後はストーリーがあってないようなもの。

正直、前作ほど一本筋の通った道を歩くようなロードムービーという感じではなく、
テイストは受け継ぎつつ、行き当たりばったりでバタバタ珍道中になってしまっているのは確か。

全体の脚本の繋ぎもきれいさが無いし、最後の展開は急ぎ足過ぎた。

前作、個人的には大好きで、ジム・ミックルの一個前の監督作品であるネズミゾンビまで借りて見たくらい、あまり伝わらないんだけどマイベストな1作。

そういう意味で、同じテンションで引き継ぐクオリティにあったかと言えば、数段落ちるのは事実。

ただまぁ、これだけキャスト引き継いで、ある程度テイストも引き継げて、
且つ、強引に変な結末に向かってない所、なんやろ、世界が壊れてしまってない所は、
この手の映画としては中継ぎとしての役割は果たしたんちゃうかなって思う。

6回くらいで1点差で登板して、同点に追いつかれたけどなんとか踏ん張ったくらいかな。
世界バレーで負けはしたけど、セット獲って次のラウンドにコマを進めたくらいかな。

前作のお釣りりを使いつつ、たた使い切らず、借金なしで終わらせた感じは悪くはない。

欲を言えば、ジム・ミックルにも脚本入ってもらって、監督もしてもらってだと嬉しかったんやが。

まぁジム・ミックル監督の次回作「In the Shadow of the Moon」がポスト・プロダクションって事で、来年公開はされるっぽく、まぁそれを楽しみに待ってますわ。

点数は前作の思い出とジム・ミックル補正。