3人の証言から語られる殺人事件の様子。
それぞれが「自分の理想」を取り繕って話をでっち上げ、誰が本当の話をしているのか事実未明になるという、人間のエゴが垣間見える作品。
語り口の話に、信憑性が籠っていれば、いくらでも嘘は真と捉えられてしまうのだなと思いました。
また、制作年が1950年と、戦後間もない時代に作られたからこそ、人間のドス黒さが窺える演技に拍車がかかっていたなと。
多襄丸、真砂、武弘。
それぞれの演技が鬼気迫っていて、画面に吸い込まれました。特に女の泣き顔からのヒステリックな笑い声が何より不気味で恐ろしかったです。