けまろう

羅生門のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

羅生門(1950年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

『羅生門』鑑賞。芥川龍之介原作「藪の中」を原作とした黒澤監督の日本を代表する映画のひとつ。但し、全く原作通りではなく、芥川の「羅生門」で用いられた舞台設定と盗人の要素、そして必要となる語り手が登場する。「藪の中」の持つ支離滅裂な不可解さと「羅生門」での閉塞された雰囲気が巧みに融合した作品と言えよう。
語り手が浮浪者と僧侶という、非世俗的な存在だったのはやはり王道か。非世俗的である語り手が、最終的には「手前勝手」な人間のエゴにより閉塞したこの世に、希望を見出そうとする流れはうまく纏めたなと感心。
「手前勝手」な人間のエゴというのが最終的な集束点だったが、そもそも原作はそんなものではなかったなあというのが少し気になる。真実味を帯びた言質の不一致という不気味さが「藪の中」という小説の核になるテーマではないのだろうか。
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