むらたろう

羅生門のむらたろうのネタバレレビュー・内容・結末

羅生門(1950年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

この映画を一度観ただけで全て理解できる人間がいるならば、それは人間を卓越したなにかだろう。
というくらい難しい作品。

原作は芥川龍之介の『羅生門』でなく、『藪の中』。教科書で学んだなあと軽い気持ちで観るとびっくりするので要注意。あの老婆のことは一旦隅に置いておこう。
藪の中で起きたある殺人事件について当事者たちが語っていくのだが、彼らの告白は全て異なっているという物語。
一体なにが真実で、だれの告白を信じるべきなのか。

まだ自分なりの解釈は淡い靄のようで釈然としないが、こんな考えが過ぎった。
人は自分の劣っている部分をわざと誇張し、それを言い訳にする。自分の都合の良い嘘を真実だと信じるのだ。正しい人間なんていない。実際には真相などどうでもよくて、我々が生きていく上で最も重要なものは「業」なのかもしれない。
人間の本性が現れつつある今の世の中で、一体我々はどういう行動、言葉で生きていくべきなのか。

今こそこの作品を何度も観て、熟考すべきではないだろうか。
むらたろう

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