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オン・ザ・ミルキー・ロードの1000のネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

動物と汚らしいおっさん達を配置して、ドタバタさせたらクストリッツァっぽい映画作れると思うなよ。どこの二流映画監督だお前…………
エッ……クストリッツァ本人……????

はじめは「そんなに面白くねぇな、★3.7ってとこか……」と思っていたが、中盤ぐらいから「これはクストリッツァの新作だ……これはクストリッツァの新作ダ……」と自己暗示をかけずには観ていられなくなり、終盤になってようやく気づいた。
「あ、これアレだわ。クandソだ」

「みんなに楽しんでほしいなぁ……」と思ってこの映画を輸入してきた配給関係者の皆さんに申し訳ない。善意が木馬責めのようにぼくを苦しめているが、はっきり言ってこんな駄作なら見ないほうが良かった。誠心誠意、時間と労力をかけて、この映画を売り出そうとしている人がいる手前、偏見全開で貶すのは流石にはばかられる。だから、ごく控えめに言いたい。ごく控えめに言って、『オンザミルキーロード』はクandソだ。
エミール・クストリッツァだぞ!? 『アンダーグラウンド』を作った!? 『黒猫・白猫』を作った!? あのクストリッツァだぞ!!? UNDERGROUNDのTシャツ買ったよ俺!?!?
やっぱ、あまり期待して観るのは違うな、と実感した。

序盤、時計に噛みつかれるシーンだが、あそこからしてすんごい違和感がした。これは笑うところか……!? なんだこれ……マジック・リアリズムか!?!?!?
テリー・ギリアムの一番くだらないギャグでも、もう少し笑えるわ。
そういえばホドロフスキーのクandソ映画『ホドロフスキーの虹泥棒』でも、悪い意味で「テリー・ギリアムっぽい」と書いたが、あれにすごく近いものを感じた。多分、ホドロフスキーもクストリッツァも、おのおののカラーを極限まで薄めた先が"劣化版テリー・ギリアム"なんだろうよ。勘弁してほしい。ご自分の専門を見失わないでほしい。
(言うまでもないが、テリー・ギリアム作品は抜群に面白い……ほとんど。)

知人にエロい夢ばっかり見るゴリラがいるんだけど、だいたい最後はめちゃくちゃに大爆発して終わり、っていうオチらしい。まさにそれじゃねーか。夢オチよりひでーぞ。なんなら、中盤の掃討作戦も含めて、2回リセットしてんじゃねーか!! ご都合主義にもほどがあんぞ! 真面目にやってんのか!? 甲子園行くんだろ!!?
主人公とヒロインがなんの説明もなく浮遊しだすところとか「うん、なるほど、わかった!」って感じ。ツッコむのも疲れた。「そっか〜! 飛んじゃったね! マジック・リアリズムだぁ!」っておもったよ、ぼく。
(ところで調べてみたらWebマガジンi-Dが、本作のレビューで"マジック・リアリズム"云々と書いてて、マジック・リアリズム警察のワイ、無事失禁)

あとこれは単純に偏見だけど、ハイファイな画質はクストリッツァと相性が悪いなぁ、と感じた。クandソみたいにチープなCGでも、ざらついたVHSで観ればノスタルジックだが、映画館のスクリーンで観るのはなんか違う。にしてもこのCGは酷い。香取◯吾の西遊記を彷彿とさせる。

日本だとそんなに酷評されてないみたいだが、Rotten Tomatoesではばっちり低評価されていて、安心(???)した。
クストリッツァ本人が主演ということで、これは趣味で作った自己満足映画であって、通過地点であってほしい。アンゲロプロスのアレみたいに、「遺作が一番クandソ」ってのだけは勘弁。カート・コバーンがSmells Like Teen Spiritを背負っていくように、トム・ヨークがCreepを背負っていくように……、たとえそれが作家のプレッシャーであったとしても、クストリッツァは『アンダーグラウンド』を乗り越えていかなきゃアカンと思うんだ。期待してるんだ!! もっとすげぇ映画を観せてくれよ!!
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