アキラナウェイ

オン・ザ・ミルキー・ロードのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

4.5
365本チャレンジは順調に進行中なものの、レビューが追いつかなくて焦る!スキマ時間でレビュー執筆しなきゃ!

これは…
何だかとんでもない映画だ!!

脚本、監督、主演のエミール・クストリッツァ。
存じ上げてなかったけど、この人凄い人だな。

3つの実話から着想を得た寓話。

隣国と戦争中のとある国で、搾りたてのミルクを戦地に送り届ける男コスタ(エミール・クストリッツァ)。ミルク売りの娘ミレナ(スロボダ・ミチャロヴィッチ)から半ば強引に結婚を迫られていたコスタだが、彼が恋に落ちたのはミレナの兄の花嫁(モニカ・ベルッチ)だった。やがて戦火はミレナの街にも及び、コスタと花嫁の逃避行が始まる。

寓話とある通り、とても不思議な肌触り。

人間達が銃撃戦を繰り広げるのを横目に
ハヤブサは悠々と空を飛び、
アヒル達は豚の血の中に身を投げ、
ヘビがミルクを飲んでいる。

物語の展開は凡庸な自分の予想の範疇など遥かに超え、映し出されるショットがどれも美しい。

特に終盤の羊のシーンが圧巻!!

もう、アレを目にした時の衝撃たるや!
「と、と、とんでもないものを今観ている!」と込み上げてくる熱量がハンパない。

戦争のリアリティと
動物達のファンタジーと
シュールな世界観の中で
全てが綯い交ぜになった上で
この映画が記すのは壮大な愛の物語。

凄まじい映像体験。
エミール・クストリッツァ、そりゃカンヌのパルムドールを二度受賞しているだけはある。

3つの実話って、どのパートがどう実話なんだろう。
それをこんな壮大な物語に纏め上げたエミール・クストリッツァの脚本力の強さよ。

ラストに少しネタバレを。



















「君が死んだら誰が彼女を思い出すんだ」

この台詞に痺れた!!

そして敷き詰められた石。
毎日毎日運んで1つ1つ敷き詰めて、彼女を思うコスタに涙。