ロク

サスペリアのロクのレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
3.7
鮮血をイメージさせる赤色を始めとした刺激的な色彩に彩られた空間とゴブリンが奏でる不気味なエレクトリカルサウンドをバックに繰り広げられるショック描写というビジュアル的な恐怖描写で“魔女”の恐怖を描いていたダリオ・アルジェント監督のオリジナル版に対しドイツ赤軍によるテロ行為が頻発していた1970年代のベルリンにある前衛的な舞踏学校を舞台にモノトーンを基調とした落ち着いた色彩とトム・ヨークが手掛けた陰鬱なジャーマン・ロックをバックにビジュアル的な恐怖描写で観客に恐怖を与えるのではなく姿は見えないが明らかに何かがおかしいという人間の感覚的な恐怖心に訴えかけるような描写で“魔女”の恐怖を描いたルカ・グァダニーノ監督では恐怖に対する切り口が全く違うため似て非なる作品として捉えて鑑賞するのが良いと思います。アルジェント版では人物を描く描写が極めて希薄だったのに対し本作では主人公スージーと舞踏学校のカリスマ教師マダム・ブランとの関係や行方不明となった舞踏学校の生徒である少女の行方を捜す心理療法士の存在など人間関係に深く切り込んだ描写が多いのも本作の特徴でそれがクライマックスに待ち構えている阿鼻叫喚の地獄絵図へのフックになっているのが面白く個人的には本作の方が好きですね。グロ描写に関してもオリジナル版に負けないくらいハードな描写も多くて良かったです。
ロク

ロク