まい

彼女がその名を知らない鳥たちのまいのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます


誰も幸せになっていないように思うけど
陣治は十和子の記憶をすべて持って死ぬ代わりに
十和子に陣治の事を忘れられなくした。

無償の愛と呼ぶにも重すぎる程の陣治の真っ直ぐな愛が
彼自身の命を断つことで
彼は一生十和子の心に残り続けることになる。
彼はこの物語の中で一番不幸で一番幸せ者のように思えた。

一度深みにハマると人はナカナカ抜け出せない。
例えその記憶が消えたとしても
また同じ過ちを繰り返す。


日常に当たり前のように隣で笑って、真っ直ぐな愛を捧げ続けた陣治を疎ましく思うことも、今はもう出来ない

嘘偽りで固められた愛に翻弄されて、陣治が目の前でいなくなったことで
初めて自分を愛してくれていたのは誰なのか気付く。もう遅いけれど。

救いようの無い女、十和子に彼は自分自身を犠牲にして、真実を教えてくれた。

でも、これから先
陣治の事を毎日思い出しながら
彼女は本当の愛を探すことは多分できないと思う。

陣治が十和子に残した物はとても大きくて
疎ましく思えた日々はとても大切な日々だったんだと、一生後悔してしまうような気がする。
ある意味で彼の復讐劇を見せられてるようにも思えました。
まい

まい