リオン66

彼女がその名を知らない鳥たちのリオン66のレビュー・感想・評価

3.3
 事件によって結ばれていく究極の愛の物語。

 大きな枠でドラマを捉えれば、見るものになんとも言えない、もどかしいカタルシスを感じることができる。

 小さな枠でドラマを捉えた時はどうだろうか。一つ一つが事件で繋がるだけで、二人の主人公は本当に固有の人間として動いているだろうか。勝手ながら、おぞましい事件を羅列することによって美女と野獣が結ばれたようにしか思えない。ここに二人だけの究極の愛はあるだろうか。

 確かにないとは言い切れない。けれども、事件という突貫工事で作られた愛には勝手な趣味だが痺れを感じない。日常を丁寧に積み上げられた愛にズレや不条理が落ちてこそ、究極の愛が試されるのではないか。

 とはいえ、編集の仕方や演出、音楽どれも素晴らしかった。また、白石監督の抑えながらも激しいバイオレンス、ジメジメしたエロティシズムは堪らなかった。


 
リオン66

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