玄助

DESTINY 鎌倉ものがたりの玄助のネタバレレビュー・内容・結末

DESTINY 鎌倉ものがたり(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

親父が原作を好きで、僕が中高の頃よくコンビニコミックを買ってきていて、僕はよくそれを暇つぶしに読んでいた。原作はほのぼのかつ淡々と、時折深く物語が1話完結で進んでいく作りとなっていた。

本作も、三丁目の夕日と同様、それに少しドラマチック感をぶち込んだ実写版なのかなぐらいに思って見始めたが、冒頭まず古風なお家の渋みを見て、「お、これは結構好みの作風かも」と思い姿勢を少し前のめりに正した。
見進めていくにつれ、原作とは違った愛らしさを持つ亜紀子が可愛くて見てるだけでほっこり。鎌倉の魑魅魍魎具合も暗く、騒がしくかつ不気味な雰囲気を醸し出していて素晴らしかった。また鎌倉での出来事に丁寧に多く時間を割いたこともよかった。これで一気に鎌倉での生活に馴染みが出て、感情移入がグッとできた。

そしてそしてそして一色先生が映し出す黄泉の国。すんんんんばらしい。雑然としていて、幻想的で、でも生活感があってただただ美しかった。

死後の世界は誰もが想像したことがあると思う。僕個人としては、死後の世界が是非ともあってほしいと考えている。だってそのほうが楽しそうじゃん!大前提として自分が死ぬまで地獄に行くような人生を送らないようせねばならんわけだが。
本作の死後の世界はとても良かった。黄泉の国は自ら命を絶たずにお天道様に恥ずかしくない人生を歩み、天寿を全うした者だけが行ける場所で、その姿は見る者の想像力で全く見え方が変わる。転生までの間、人がここで余暇を過ごし、そして転生し、また生を謳歌するのだと考えると、これからしっかりと天寿を全うすることに希望が抱けるし、大事な人が亡くなっても救いがあるように思える。

最後のボンビーの活躍もグッと来た。ボンビーにはせめてたまに一色家の縁側にお茶しに行って、世間話でもしていてほしいな。

もっともっとこの世界を観たかった...。ドラマ版を作ってからの劇場版でやって欲しかった...。
玄助

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