アマゾンの奥地で新薬の研究を続けていた製薬会社の博士が、人間をゾンビ化してマインドコントロールする新薬の開発に成功。ホームレスなどをゾンビにして工場などで酷使していたが…というストーリー。
新薬でゾンビ化した人間を製造する製薬会社から一体のゾンビが逃走したことから始まる事態を描いたゾンビ映画です。
逃走したゾンビを始末する為会社はヒットマンゾンビを派遣する。一方、製薬会社に勤めていた若い女性が何者かに殺され、父親は復讐のため犯人捜しをしていると、脱走したゾンビが事件のカギを握ると突き止めるのだった、という内容です。
全編安さ溢れるゾンビ映画です。それもそのはずで、監督が3年前に撮った短編を長編化したものですが、製作費が10万円!スタッフも三人だけでロケ現場で即興で撮影されて小道具もその場に合ったものを利用して撮影されたそうで、安さ爆発してるのも仕方ないと言えるかも。
新薬で人をゾンビ化させて工場などで酷使している製薬会社から、一人のゾンビが脱走し、そこに娘の復讐に燃える父親が絡んでいくという展開ですが、とにかく始まってから45分くらいはやたら大勢登場人物が出て来て、しかも其々の関係性や目的、対立構造も説明されないまま物切れエピソードが続いていくのでさっぱり訳が分からないから物語に入り込めないし、誰が主人公なのかわからないから感情移入もできないんですよね。複数の登場人物の個別のエピソードを同時進行させながらラストに一つにまとめる展開にしたかったんでしょうが、監督の力量が追い付いてない感じ。黄色がかった映像も見辛いだけでした。
本作のゾンビは原題通り額に釘打ち込んで、そこにあいた穴からヨーグルトみたいな新薬流し込んでマインドコントロールするというもので、ハイチのブードゥーゾンビのような感じですね。なので食人はしません。脱走ゾンビは白目剥き気味で顔色も白くて額に釘刺さったままという姿ですが、ヒットマンゾンビとかその後に登場するゾンビは普通の人間の見た目で額にはバンソウコウはってます。最初の刺客ゾンビが植木バサミシャキンシャキンさせながら追い掛けてくる所は本当にちょっとだけ「クロックタワー」のシザーマン彷彿してしまった。
頭や顔面吹き飛ぶシーン出てきますが超絶チープなCGなので全然グロくないです。刺客ゾンビの額の穴から燃料注ぎ込んで火をつけて爆発させるのはちょっと面白かった。
脱走ゾンビに娘の復讐に燃える父親、ヒットマンゾンビにコカイン吸いまくってるマッドサイエンティスト、額に釘刺さってフラフラしてる男も車に乗せてキャンプにまで誘うバカ三人、賞金稼ぎに黒幕の重役と登場人物多いですが、全員役名ないんですよね。賞金稼ぎとマッドな石はイイキャラだったかな?
ヒットマンゾンビが脱走ゾンビを追い掛けてる最中に出くわす人間片っ端から殺しまくるのは途中から笑っちゃいました。証拠隠滅の為かもしれないけど事態余計に大きくしてるだろ(笑)
話がまとまっていく後半からは物語に入り込めるようになってきました。
ラスト、空き地に集まった男達がお互いに銃突きつけ合う構図は「監督絶対これ一番撮りたかったんだろ!」と思って笑っちゃいました(笑)BGMも何かウェスタンぽいし。ストップモーション掛かって画面がセピア色みたいになるのは「明日に向って撃て!」ちょっと彷彿しました。
まあでも10万でそれなりに作品として体裁整えてるのは頑張ったと言えるのかな。それでも人様にはとてもじゃないけどオススメは出来ない作品です。