爆裂BOX

アンデッドの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

アンデッド(2003年製作の映画)
3.6
オーストラリアの小さな田舎町バークレーに突如、空から大量の隕石が降り注ぎ、直撃を受けて死亡した人間はゾンビとなって蘇り町の人間を襲う。ミス・バークレーのレネは銃砲店に逃げ込むが…というストーリー。
「デイブレイカー」や「プリデスティネーション」のマイケル&ピーターのスピリエッグ兄弟のデビュー作でもあるトンデモゾンビ映画です。
銃砲店を営む変人と呼ばれるマリオンに救われたレネ。更に、ウェインとサリアンヌのカップル、警官のハリソンとモリーの4人の生存者が逃げ込んでくるが、ゾンビは容赦なく雪崩れ込んでくる。マリオンが二丁拳銃で応戦するも、押されてしまい店を脱出する。車で町の外を目指す一行だが、町を取り囲む巨大な壁がそれを阻んで、という内容です。
初見時は評判ほど面白いと感じなかったんですが、久しぶりに再見して見たら中々楽しめましたね。
かなりの低予算で製作された作品ですが、大量に降り注ぐ隕石やセスナ機のクラッシュシーン、空に浮かぶ大量の人間といったビジュアルは低予算さを感じさせないですね。
一軒家に逃げ込んだヒロインが他の生存者と協力してゾンビに立ち向かう展開は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」彷彿させるものがありますが、そこに二丁拳銃等を使った超人的ガン・プレイや宇宙人などとにかく監督が好きな物詰め込んだ内容になってますね。
ゾンビはノロノロゾンビで、白目剥いたメイクもいい感じですし、直接的なお食事描写は少ないですが、ショットガンで上半身吹っ飛ばされて、下半身だけになったゾンビや内臓ボトッと落としたり、頭部ぶち抜いて脳味噌掴みだしたりスコップ脳天に突き刺されたゾンビの顔面がベロ~っとはがれて落ちたり、脳天から人体真っ二つにしたり、円ノコがハマった棒振り回してゾンビの身体スパスパ切り裂いたりとゴア描写も盛りだくさんでこちらも低予算さを感じさせませんね。ゴア描写のカラッとした感じは「ブレインデッド」系統ですね。
かつてゾンビ魚に襲われ、更に宇宙人に誘拐された経験があり、それを話すも誰にも信じてもらえず変人扱いされてる銃砲店店主マリオンが見せる超人的ガン・プレイの数々も楽しいですね。三連ショットガンというバカ武器持って初登場する時からインパクト抜群ですが、前宙してぶら下がりながら二丁拳銃でゾンビをメッタ撃ちしたり、弾切れになったりゾンビとの戦いになると服の中からピョーンという効果音と共に拳銃が飛び出してくる所は笑っちゃいました。
ヒロインのレネも最初は怯えてたけど、いざとなったら拳銃手にゾンビを撃ち倒したり、前述した鋸刃付きモップでゾンビ切り裂いたりと活躍してくれます。本編よりもメイキングのボーイッシュな短髪の方が美人でしたね。
ただ、それ以外のキャラが皆ウザいのが難点ですね。警官のハリソンはやたらエラそうにがなり散らすけど肝心な時にはビビるし、部下のモリ―も終始テンパりながらハリソンに従うだけだし、前ミス・バークレーのサリアンヌはわめいたりレネにつっかかったりするし、ウェインもマリオンに銃突きつけて従わせたりするし、感情移入出来るキャラが主役二人しかいないですね。
浴びると服が煙を上げる酸性雨、町を取り囲む巨大な壁、空中に浮かび上がる昆虫や雨を浴びると人間に戻るゾンビや宇宙人といった脈絡が無いように思えた事象が解明され、一つに繋がっていく後半の展開はSFになっていきますが、巧みですね。絶対侵略目的だと思ってたからなぁ。ただ、前半がテンポ悪いのが残念ですね。特に生存者達が地下シェルターに入ってから罵りあって喚き散らす下りは無駄に長く感じました。ロメロ風に密室での生存者の諍い描きたかったのかもしれないけど、この映画のノリ的には必要なかったと思います。
金網の向こうに立ち並ぶゾンビの大群という「死霊のえじき」彷彿させる光景やガスマスクつけて4連ショットガン持つヒロインの姿を映したラストシーンはゾンビ映画ファンとしてはグッときますね。
「ブレインデッド」彷彿させるゴア描写や破天荒なストーリー展開などゾンビ映画ファンなら楽しめる作品だと思います。