Kumonohate

嘘八百のKumonohateのレビュー・感想・評価

嘘八百(2017年製作の映画)
4.0
茶器をめぐる古美術品詐欺のお話。

やはり古茶碗というモノは、それが収められていた箱なり書面なりといった、来歴を示す某かのキャプションが無い限り、作品そのものから真贋を判断することは無理なのだなと納得。というより、裏を返せば、古茶碗の価値とは、それそのものの美醜もさることながら、出自や来歴によるところが大きいのだということがよくわかった。そもそも、茶碗に真贋があるというのはそういうことなのだ。

そして、鑑定士というモノが国家資格でも何でも無く、単に“自称”に過ぎないということが、さらに事態をややこしくする。出自や来歴を立証できない古茶碗の価値は、自称“目利き”達によって幾らでも書き換えられ得るのだから。

本作では、内容がコメディー・タッチであるためか、贋作制作者達や加担者達には同情しうるバックボーンを与えられ、取引される額もそれなりに可愛らしい数字に抑えられている。その点はヌルいといえばヌルい。現実は、もっとえげつないに違いない。観ていてそう思った。
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