綺麗なものはそこにある
知らないのではない
気付くかどうか
調律されたピアノを聴いてどう思うか
外村は綺麗と思ったのだ
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映画の好き嫌いも同じなのではないか。映画は愛情をもって作られ、そこに存在し続ける。受け取り側が良いととるか悪いととるか。それはその時々で変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。ずっと経験や心情、環境で変わると思っていたけど、そうじゃないのかもと思わせたのがこの映画(小説)。外村が調律されたピアノを綺麗と思ったのは外村だからであって、誰でもそう思う訳じゃない。将来や夢が人それぞれ違うように、人それぞれ良いと思うものが違う。それで良い。押し付けるものでもなく、その人がそう思ったのならそれで良い。
真面目な青年が早く調律師として1人前になりたくて焦って失敗して学んで…何事も「こつこつ」が大事。今時こんな真面目な人はいるのかと思うくらい。小説では外村は少し吐露しすぎ喋りすぎが否めない。
小説と設定やストーリーが少し違うところもあったが、かなり忠実だった。
外村の成長物語に登場する色々なピアノの音色。小説ではどんな音色だろうかと想像するしかなかった文体が、映画ではポロポロポロンと広がっていく。昔を思い出して奏でる嬉しさ楽しさ。静かで優雅な音色。柔らかい音色。力強い音色。跳ねるような明るい音色。
また、森と表現されたピアノ。音色だけでなく、小説の文体が持つ情景までも見事に描いていた。旭川の緑、雪、田舎の風景と音が相まって静けさと心地よさが広がる。本の世界に色と音が加わってさらに世界が広がる。
終盤の演奏は光の撮り方が綺麗だった。これらを綺麗ととるか静かで退屈な映画ととるか。淡々としているため私の周りは船を漕ぐ人が続出。安眠映画と言えなくもない。
私はこの映画は綺麗だと思った。小説のイメージを大事に再現しようとしている。原作への愛を感じる。でも少し退屈に思うのも確か。若干長いのも要因か。
この世界に浸れる者と浸れない者。両者がいて当たり前であり、それで良い。映画が悪い訳じゃない。欠点、不満点は観る側が勝手に評価してるだけで、映画はいつでもどれでも素敵に違いないのだから。その映画の魅力に気付けるかどうか。だから1つ1つ確かめるのです。
これからも「素敵」と思える映画に出会えますように…
最後に。
綺麗かどうか確かめてみてください。小説もよければどうぞ。
余談
>夜空のパンケーキさん
小説を薦めてくれてありがとうございました。小説>映画の順に観ると文体のイメージに映像、音が加わって一気に世界が広がりました。