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ミックス。のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ミックス。(2017年製作の映画)
4.0
母・華子(真木よう子)のスパルタ教育により、かつて“天才卓球少女”として将来を期待された28歳独身の富田多満子(新垣結衣)。母の死後、普通に青春を過ごし、普通に就職する平凡な日々を過ごしていたが、会社の卓球部のイケメンエース・江島(瀬戸康史)に告白され交際を始める。ついにバラ色の人生が……と思った矢先、新入社員の美人卓球選手・愛莉(永野芽郁)に江島を寝取られてしまう。人生のどん底に落ち、逃げるように田舎に戻った多満子だったが、亡き母が経営していた卓球クラブは赤字に陥り、自分の青春を捧げた活気のある練習風景はそこにはなかった。クラブの部員も、暇を持て余した元ヤンキーのセレブ妻吉岡弥生(広末涼子)、ダイエット目的の中年夫婦(遠藤憲一、田中美佐子)、オタクの引きこもり高校生佐々木(佐野勇斗)、さらにケガで引退した元プロボクサーながら、妻の上司を不倫相手と勘違いして暴力事件を起こし妻と娘に見捨てられた新入部員の萩原(瑛太)など全く期待が持てない面々ばかり。だが江島と愛莉の幸せそうな姿を見た多満子は、クラブ再建と打倒江島・愛莉ペアを目標に、全日本卓球選手権の男女混合ダブルス〈ミックス〉部門への出場を決意。部員たちは戸惑いながらも、大会へ向け猛練習を開始するのだった。多満子は萩原とミックスを組むものの、全く反りが合わずケンカの毎日。しかし、そんな二人の関係にも、大会での惨敗で変化が訪れ、猛練習を開始する。果たしてフラワー卓球部は、全日本選手権出場出来るのか?多満子の恋の行方は?
失恋し失職した多満子や暴力事件で落ちぶれた萩原など崖っぷちの人が、卓球を通じて人生を再生させていく展開はベタだけど、自分の持ち味を生かすことで自信などを取り戻していく過程が丁寧に描かれていて、心熱くなる。ただ多満子と萩原以外のキャラクターの心情の掘り下げが浅いのが、物足りない。クライマックスで、自分の思いにケリをつけるために吉岡弥生たちが全日本選手権に参加し、再び多満子と萩原が卓球への情熱を取り戻し全日本選手権に参加する展開は、熱い。夢は、自分の思うような形でなく、意外な形で叶うかもしれない。「普通」にこだわらなくても、自分なりの特別な幸せの形があるかもしれない。そんな感じの爽やかなヒューマンコメディ映画。
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