MikiMickle

イット・カムズ・アット・ナイトのMikiMickleのレビュー・感想・評価

3.2
監督はトレイ・エドワード・シュルツ
日本では未公開だけれど、2016年の初長編映画「krish」が、奇人ジョン・ウォーターズ監督のその年のベスト1になったという監督。


なんとか意識を保つ弱った老人。体は腫瘍まみれ。
ガスマスクを付け泣きながら謝る家族たち…そして、火を放ち葬る…

そんなシーンからこの映画は始まる。

山の一軒家に住む彼らの家。
ブリューゲルの絵画のアップ。
思春期の息子の見る悪夢。

家族を守るという信念を持つ父ポール(ジョエル・エドガートン)、母サラ(カルメン・イジョゴ)、17歳の息子トラヴィス(ケルビン・ハリソン・ジュニア)の3人は、何かに怯えながらひっそりと暮らしていた。

一体、彼らやこの世界に何が起こっているのか……

1人の男がその家に忍び込む事によって起こる一家の変化。
ほんの少しずつわかっていく現状。
変わっていく状況。

そんなサスペンス映画。
予告すら見ずに見て欲しい作品。

この映画には、派手さはない。
ぶっ飛んだ展開もそれほどはない。

しかし、次に何が起こってどういう展開になるのかわからないじっとりじっくりとした展開に目が離せなくなる。
緊迫と穏やかさの緩急によって、緊張感はずっと途切れず、。
描かれる人間関係も同じくで、疑心暗鬼と家族愛の感情が時に起伏する。

主人公トラヴィスの見る悪夢はそれとわかるまでは現実と区別がつかず、見ているものを不安に陥られせ、展開への期待を感じさせる。

安心と不安というもの起伏は、日常生活でも感じるものだ。
それが極限状態であったら…と感じる部分もあった。

とにかく、この先に何が起こるのかという“見せ方”が上手い作品だった。展開に予想が出来る部分はあっても、面白かった。

そして思ったのは、誰しも日常生活で安心と安堵と、緊張と不安との中で生きている。
普段はその辺は曖昧で流して気にしないように生きてるけれど、
そこが切り詰められた設定の、それを見せる映画だったのではないかなとも思った。
MikiMickle

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