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クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的のnodriguezのレビュー・感想・評価

4.5
マドリードのとあるバル。様々な人々が利用していたある日、店から出てきた一人の客が、突然銃撃され頭を撃ち抜かれてしまいます。店内にいた店員や客たちはパニックになり、店の奥に逃げ込みますが、その中の一人の客が、頭を狙撃された客を救おうとして外に出ると、その客までもが銃撃されてしまいました。逃げたいけれど、街の外に狙撃手がいるという極限の状況の中、店内の人々の中に悪人が紛れ込んでいるかもしれないという疑惑が浮上してきます。
いつ殺されるか分からないという状況の中で、様々な情報や推測に惑わされ、疑心暗鬼に陥った挙げ句、人々の生々しい本性が暴かれていくスリラーです。生命の危機が迫る密室の中で、人間の汚い部分が描かれる作品はたくさんあるかと思いますが、本作で面白いのは、やはり「バルの外に出れば殺される、でもなぜ?誰が原因なのか?」という設定だと思います。ですが、邦題にちょっと騙された感が否めません。確かに狙撃手はいたと思いますが、ストーリー全体を踏まえるとサブタイは蛇足だったような気がします。
とは言え、展開の見えないストーリー、想像以上に人間の自己中心的な考えや自分だけでもという欲が、とても生々しく描かれていたのは満足です。暴力的な描写や精神的にキツイシーンもしっかり描かれていました。
全てを見終わった後で冒頭のシーンを観ると、「なるほど、だからこんな入り方なのか」と納得してしまう作りになっています。
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