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オクジャ okjaのnodriguezのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
4.5
人口増による深刻な食料不足を解決するため、アメリカの超巨大企業が開発したのは、環境にも優しく、飼育にも手間がかからず、何よりも非常に美味な生き物・スーパーピッグ。世界10ヶ所の農家にスーパーピッグの子どもたちが試験的にばらまかれ、韓国の人里離れた森で暮らす農家の娘・ミジャの元にも、スーパーピッグが届けられます。ミジャはその子をオクジャと名付け、大切に育てますが、ある日、立派に育ったオクジャがアメリカへと連れ去られたため、ミジャは我が身を顧みず、オクジャ救出に向かうのでした。

ただ一緒に穏やかに過ごしたいだけなのに、社会の波や様々な思惑に翻弄される巨大な豚と心優しい少女の絆を描いた作品です。

とにもかくにも、ミジャ役の女の子の演技が素晴らしいの一言に尽きます。オクジャとの別離シーンでは、胸が張り裂けそうなほどの悲しさを感じますし、オクジャと再会するためには手段を選ばずに行動する、少女の鬼気迫る姿にオクジャへの本物の愛を感じました。

脇を固める俳優女優もとても豪華です。巨大企業のトップを務める利益重視の女社長をティルダ・スウィントン、企業に飼い慣らされた有名動物学者をジェイク・ギレンホール、動物愛護団体の若きリーダーをポール・ダノ、それをサポートするリリー・コリンズetc...よくここまで豪華な顔ぶれを揃えたな、という感じです。
それなのに、誰一人、存在を主張しすぎることなく、うまく調和しながらひとつの作品を作り上げています。

食料問題解決のための遺伝子操作やイメージ先行型に走る企業の広報戦略など、社会的かつ倫理的な問題もストーリー中で提起されているので、単なる動物と子どもの絆映画かと侮るべからず。いずれ来る社会の諸問題を考えさせられる作品です。
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