20世紀中盤のNY。社交界のトップを誇る財力と人脈を持ち、愛する音楽と若き夫のために日々を生きるマダム･フローレンス。かつて夢見ていたソプラノ歌手を諦めきれないマダム･フローレンスでしたが、実は彼女の歌声は稀に見る程の音痴。しかし、なんとかして彼女の願いを叶えたい夫のシンクレアは方々へ連絡し、彼女のために小さなリサイタルを開催します。すっかりと活力をみなぎらせたマダム･フローレンスは、なんとかのカーネギーホールで歌いたいと言い出します。
音痴でお人好し、少し世間知らずな社交界貴婦人が、夫の愛に支えられながら、かの有名なカーネギーホールの舞台に立つという、笑いと感動の実話映画です。
歌うまな人が音痴な役を演じるのは難しいらしいですが、見事にそれをやってのけるメリル･ストリープ、やはりさすがとしか言いようがないです。
優雅でいて貫禄もありますし、辛い病気にも負けずに愛するもののため、明日に向かって一生懸命に生きるその姿勢に、とても励まされます。
また、夫の献身的な愛にも心が震えます。誰よりも近くでマダム･フローレンスの歌の実力を目の当たりにしているのに、こちらも愛のため、周囲の喧騒に惑わされることなくブレずに支え続けるという役どころを、ヒュー･グラントが見事に演じきっています。
何よりも驚くのはこれが実話だということ。好きこそ物の上手なれ、とはいきませんが、それでも好きなものは実力や才能問わず、心から楽しむべきだということを実感しました。
