風の旅人

きみの鳥はうたえるの風の旅人のレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
4.0
どこにでもいる「終わりなき日常」(宮台真司)を「まったり」生きる若者たちの青春の日々が切り取られていた。
私にとっては「懐かしさ」を感じさせる映画だった。
行く当てもなく街を彷徨い、茫漠とした「現在」の中にいたあの頃。
目的論的な時間から自由な彼らが羨ましかった。
終始アンニュイな雰囲気で、映像の質感が素晴らしかった。
役者陣では石橋静河の透明感、柄本佑のサイコパス感(『怒り』の森山未來を想起した)が印象に残った。
受動的に佐知子(石橋静河)を「待つ」ことしかできなかった「僕」(柄本佑)が、途中でカウントをやめ、赤信号を無視して佐知子を「追いかける」ラスト、振り返った佐知子の複雑な表情が忘れ難い。
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