MikiMickle

マザー!のMikiMickleのレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
4.0
作品が度々論議を生むダーレン・アロノフスキー監督だが、今作も同じく公開直後に賛否両論を巻き起こし、日本でも公開が決まっていたものの、突如として未公開となってしまった作品。


業火に包まれた女性のアップから始まる。
夫が灰の中から透明な鉱石の様なものを探し出し、それを飾ると、荒れ果てた家がみるみるうちに美しくなっていく。
ベッドに横たわる女は目覚め、夫の姿を探す。

そんなシーンから始まる。
のどかな自然に囲まれた古い広大な家。
詩人の夫(ハビエル・バルデム)はスランプ中。
妻(ジェニファー・ローレンス)はそんな彼を見守りながらも、大事な家の修復を続けている。

ある夜、1人の見知らぬ中年男(エド・ハリス)が訪ねてくる。医者だという彼は、この家が民宿だと思ったようだ。戸惑う妻をよそに、夫は彼を家に泊める事に。夜妻が目覚めると、中年男が嘔吐していた。脇腹には傷が。それを隠す夫。
気がつくと夫と男は親友のように仲良くなっていた。

翌日には中年男の妻(ミシェル・ファイファー)が突如として現れ、我が家の様に平気で住み始める。性的フェロモンを出し、そして「子供はいないのか」とズケズケと質問してくる。それが悩みの妻は傍若無人な来訪者夫婦が気に入らないものの、夫に従う。

そして、翌日にはまた突然彼らの息子兄弟が。
次々に家を訪れる人々……
それは徐々に異常なものへとなり…
安住の地である家が狂気に犯されていく……


という所までしか書けない……
感じた事も、何を書いてもネタバレになってしまう。
考察レビューも書いたけれど、それは載せないでおく。

恐ろしい不条理サスペンスホラーという名のベールを被った、あるものへの辛烈なメタファー映画だった。

あるものを女性目線で描くという画期的な発想と、
丁寧なメタファーから感じる恐ろしく深い深い警鐘。

後半など、その訴えかける事により、胸が傷んで仕方がなかった。
ジェニファー・ローレンスの熱演がそれにさらに拍車をかけた。
涙が出た。

この映画が欧米で賛否両論だったのは確かに題材的にはわかる。
が、私は、素晴らしい作品だと思う。

先月見た映画だけれども、鮮明に残っている。
考察はしてもしきれない
MikiMickle

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