4回目。映画として大傑作なのだけども、こういう話の構造の映画は全力で肯定したくなる。旅路の末にあっち側の世界へと旅立つ話が大好きです。
本作はラースフォントリアー自身の自虐コメディ。途中で自身の監督作品がそのまま登場したりする。主人公とヴァージというらしい人物が会話する部分は、分裂した自己が1人ボケ&ツッコミをしているのかと思いきや地獄の案内人(のように見える)。主人公の主観に乗せられて殺人鬼の精神世界を覗く。最後に至っては主人公は自分の精神の深淵or本物の地獄へと降下していく。大量殺人とか、善悪の境界をブッ壊す行為を終えたその先には人間性の極限が待っている展開がアツい。
(第一の出来事)では、主人公は未亡人の家に入れてもらってからは大きな態度をとり、未亡人からしたら「こんなに大きな態度をとるからには偉い立場のものに違いない。自分が警戒したのがマズかったんじゃないか」などと気負い始めるのが面白い。
(第四の出来事)で松葉杖を使って周囲の同情を引くのは実在の連続殺人犯テッド・バンディが湖のそばで女性を誘拐するときにもやっていた手法。あと「バニシング-消失-」でもやってた。勉強になります。
ヴァージの登場の仕方が「邪願霊」的な『実はあの時あの場面でもいました!』という爆笑ポイント。
久しぶりに借りて懐かしさを覚えたのだけども、まだ準新作だったの意外。