【自分の性癖と戦う監督】
もちろんR-18版で鑑賞しました。
彼の作品を観て毎回思うのが、ご自身の性癖やパーソナリティーを投影してますよね。
女性への加虐心。
女性へのコンプレックス。
女性への憎しみ。
だけど自分には女性という存在がなくてはならない。
トリアー監督の作品は、彼の自慰行為であり、自分へのセラピーであり、皮肉でもあると感じます。
ブルーノ・ガンツさん演じるヴァージは、マット・ディロンさん演じるジャックとの対話で、常にジャックと正反対の考えを持っています。
これも、トリアー監督の中にある良識と自分への皮肉だと思うのです。
最後の方でヴァージさんがダンテの「神曲」になぞらえた地獄への道先案内人になってましたね。
地下の鍾乳洞?を2人で歩くシーンで、ドラクロワの絵画「ダンテの小舟」のオマージュがあったので理解できました。
赤いフードでコスプレまでしちゃって。
笑っちゃったよ。コメディだね!
トリアー監督って本当に絵画が好きですね。
それに松葉杖で怪我人を装う場面。
あれもシリアルキラーの語源となったテッド・バンディが獲物を誘き寄せる方法。
切り取った胸のお財布はエドワード・ゲイン。
そういった数々の暗喩を見つける視点でも楽しめました。
最終的にジャックが「神曲」第九:裏切り者の地獄に堕ちてしまったのは何故でしょう。
ヴァージは、ジャックの地獄は今居るところの2つ上の階だと言ってましたが。
監督って意外にも敬虔なクリスチャンなのではないでしょうか?
自分が堕ちるであろう地獄の場所とジャックを重ね合わせていたのかしら?
要所で流れるデヴィッド・ボウイの"Fame"の歌詞も作品の内容に合っていて良かったです。
終わり方としては同監督の「ドッグヴィル」の方がスカッとして好きでした。
だけど確かにこれは芸術です。
トリアー監督が作ったからね。
あなたにしか出来ない事だよ。
要するに最高ってこと!!