トリアー監督版ポプテピピック。
殺人鬼映画をベースにシュールな映像と芸術作品から引用した映像の嵐を巻き起こす。
女性蔑視とも捉えかねない残酷描写をオムニバス形式で放り込む地獄巡り。
しかし、障害や病気を決して茶化さない形で笑いに昇華させる技法には感服。
終盤から、モロにダンテの神曲をオマージュした展開を見せるのだが、それが非常に神秘的で思わず涙しそうになった。
行き過ぎたポリコレ批判やmetoo運動への揶揄に見せかけて、自己決定の重要性とオレンジ頭の大統領を生み出したアメリカ国民に対する痛烈なメッセージを物語の節々に仕掛けたと自分は解釈している。
赤い衣装に身を纏った“ポプ子”と恐らく幻想である“ピピ美”が邂逅する時、地獄への扉は開く。
深い闇へと転落したジャックは、何処かの僻地で再び蘇るだろう。煉獄。