ペジオ

オールド・ボーイのペジオのレビュー・感想・評価

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)
4.8
彼は復讐しているのか、それとも…

思えば映画のオープニングの時点で「自分を15年監禁した奴を必ず見つけ出して殺す」というオ・デス「さん」のアウトロー感…というか「徹底された嫌な奴感」に僕はヤられっぱなしであった
自分の事だけ話して相手の話は聞かねえっていう奴なら、現実でも石を投げれば当たる様な典型的な「嫌な奴」でしかない(実際監禁前から既に取るに足らないレベルで嫌な奴ではあった)
だが「この方」は結果その相手が愛犬巻き込んでの飛び降り自殺したのを一瞥もせず、ただ下卑た笑みを浮かべるって所までいけるのだ(この一連のシーンの格好よさよ!)
「獣にも劣る人間」という事実を自覚しているが故の振り切った魅力が終始映画内で炸裂していて、僕は「カッケーな、オ・デスさん。」と憧れにも似た気持ちで観賞していた
そのまま映画が終わっていればそれこそ僕は憧れを通り越して、まるで自分がオ・デスさんになったかの様な野蛮な振る舞いで映画館を後にしたであろう
(「観賞後主人公になったかの様な感覚になる」というのは映画観賞あるあるであり、最大の賛辞でもある。「ある」が多いな。)

「…駄目だ。それは駄目だって。やめてくれ。まさか本当にそんな事にはならないだろ?頼むから、それだけはやめてあげて…。」
オ・デスさんが監禁された理由に僕自身が気づいてしまった時に思っていた事である
どのタイミングかは忘れたけれど、結構早く気づいちゃったんだよな
もはやこの時点で自分とオ・デスさんの心理的な距離感は有って無いようなものなので、その結末だけは勘弁してよと心底思ってた

そして「予想通りの真実」が明るみにされる…

僕は勘違いをしていた
そこからが本当の「オ・デス劇場」だったのだ
獣にも劣る人間の獣にも劣る人間による獣にも劣る人間の為の「見世物」
急速に下へ下へと広がるオ・デスさ…いや「オ・デス」との距離感
アハハハハ、「コイツ」は一体何処まで堕ちりゃ気がすむのか、全く底が見えねえわw
ラストに至っては行き着く所まで行ってしまった感があって、正体不明の清々しさすら漂ってしまっている

先程迄の憧れが軽蔑に180度どんでん転回してもなお魅力を損なわないオ・デスをどうか…笑ってあげて欲しい
それがコイツにとっても幾分かの救いになるだろうから…
(決して別の魅力を披露した訳ではなく、本質的な部分でオ・デスは一貫性のあるキャラクターである所が興味深い)


映画の白眉とも言える「監禁所」での乱闘シーン
横スクロールの撮り方もそうだが、一対多という要素や金槌や木材使ったりとか…「くにおくん」を思い出した
(もちろんメチャクチャ興奮もした)
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