さわら

オールド・ボーイのさわらのレビュー・感想・評価

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)
4.5
凄すぎた。衝撃的な映画とは、まさしくこの映画のためにある形容である。剥き出しの演技と深まる謎、見終わってとても疲れる映画だ。原作は土屋ガロン・日本人である。見事映画化したパク・チャヌクは今作でカンヌ映画祭グランプリを受賞した。正直、この原作は日本監督では到底扱えない代物だ。日本で中途半端に映画化せずに、韓国で映画化され世界に認められたことは、日本人として誇らしく思うべきである。好きなシーン・印象的なシーンは多い。特に、ミドとのベッドシーンだろう。決して綺麗とは言えないホテルで、お世辞にも美しいとは言えない2人のセックス。それが、さらに衝撃的な事実を罪深くしている。ベッドに添い寝するウジンも恐ろしい。それにしても、この映画の真の被害者は誰だろう。オ・デスか、それともウジンか。そうではない、僕はミドこそ最大の被害者だと思う。事実も知らされず、復讐のためにただ道具として利用されるミド。知らないことが幸せか、見終わったあとの何とも言えない失望感はそこにある。そもそも韓国映画に悲劇的な女性が多いのは、お国柄なのだろうか。目を覆いたくなるようなシーンも多い。しかし、ときおり流れる優しいワルツでそこまで残虐に見せないのが驚きである。音楽の選曲・タイミングも秀逸だった。