ヨダセアSeaYoda

オールド・ボーイのヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)
4.4
観た回数:1回
直近の鑑賞:Amazon Prime(20.01.20)
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復讐劇系映画の傑作。僕も韓国映画にあまり関心がない時から名前を知っていました。
昨年(19年)『哭声』『新感染』を観て韓国映画に興味を持ち、Twitterでオススメ韓国映画を募集した時も、最も多くの方にオススメされたのが今作でした。
むしろ、推され過ぎて最初から今作を観てしまうのがもったいなく感じたので、韓国映画13本目の鑑賞で満を辞して鑑賞。評判に恥じない傑作でした。
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まとめると…
●目も心も抉られる
●主人公と同じ目線で追体験
●癒しは音楽と演出
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【STORY:謎解き×復讐劇アクション】
なぜ突然監禁され、なぜ15年の時を経て解放されたのか。主人公オ・デスは答えと復讐を求め、街を奔走する。


【目も心も抉られる】
物語も描写も非常に、エグいです。
洗練された暗い物語には心を抉られますし、生々しい暴力描写には目を抉られます。

物語は、 "主人公がただ復讐し、復讐の後の虚無感に浸り〜" といったよくある復讐劇ではありません。確実に全ては予想しきれない、非常に良く練られた物語は最後まで必見です。

それと、暴力描写もエグいのですが、他にもそこそこ生々しいセックス描写もあるため、親や子供と観る際は注意!


【主人公と同じ目線で楽しめる】
正直最初は「は?何が起きてる??」という感じです。観客は主人公オ・デスと全く同じように、何も把握していない状況で意味不明な状況に放り出されます。

デスと共に困惑し、デスと共に正体不明の敵への怒りを募らせ、デスと共に敵を蹴散らして喜び、デスと共にまた絶望し、デスと共にまた怒り…
デスが得る情報以外が私達にもほぼ与えられないことで、私達もしっかりと彼の立場で物語を味わうことができます。


【演出や音楽が癒し】
ただでさえ暗い物語で、更には過激で生々しい描写も多い今作を、上記の通り見事に主人公と共に追体験させられてしまう今作。
私達観客も疲労困憊です。

そんな作品に、ずっと疲れ果てずに飽きずに観てられる魅力を与えてくれる要素は、よく練られた物語だけではありません。
音楽や演出がバランスをとってくれるのです。

基本的に、流れている音楽が非常にノスタルジックです。ジブリ映画(特に『ハウルの動く城』辺り)を彷彿とさせる郷愁的な音楽は、今作にいい意味で違和感を与え、唯一無二の印象的空気感を作り出します。

更に、無駄に軽快な演出も "いい意味の違和感" "唯一無二の空気感" に一役買っています。
特に、復讐の最中の大真面目な状況で、デスの武器から敵に向かって「テテテテテテテン♪」と点線が引かれたのには思わず吹き出しました。

こういった、物語とは関係のない部分でバランスを取ってくれる "優しい要素" が、今作を絶妙に傑作たらしめる部分だと感じました。
ヨダセアSeaYoda

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