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パシフィック通り/太平洋の柵のakrutmのレビュー・感想・評価

2.8
日常生活に嫌気が差したパリジェンヌが、新たな生活を求めて渡ったアメリカ西海岸ロサンゼルスでの、仕事や恋愛での苦悩やかすかに見える希望を描いた、ベルナール・シュミット監督の青春映画。主人公のフランス人女性ベルナデットを演じているソフィー・マルソーの米国デビュー作である。アメリカでのシーンは英語で撮影・公開されていると思うが、私が見たバージョンは、すべてフランス語に吹き替えがしてあった。なので、ロスでアメリカ人がみんなフランス語で会話しているというシュールさがあった。

内容は、特に見どころもなく、本当につまらない。前半というか2/3くらいは、ロサンゼルス空港に迎えに来る予定だった男性と会えなくて、居候先の女性もいなくなってしまって、グリーンカードがないので仕事も出来ず、八方塞がりの状態で苦悩するソフィー・マルソーが拝める。(私のような)ソフィー・マルソー好きにとってはそれだけでも一定の満足感は得られるのだが、その後の展開がかなり乱暴。なぜか空港で会えなかった男性と偶然知り会えて(あまりのつながりのなさに、途中まで違う男性だとばかり思ってみていた)、仕事にもなぜかありつけて、かすかな希望が見えるというお気楽展開なのである。パスポートや所持金をなくしてソフィー・マルソーが騒いでいるシーンでは、男性にすっかり騙されて身ぐるみ剥がされたという展開かと思っていたら、説明なしに男性が何気なくパスポートを渡しにくるなど、よくわからん展開も多かった。『ラ・ブーム』以降、なぜソフィー・マルソーはこんなにも映画にめぐまれないのだろうか.

ちなみに、原題のPacific Palisades(パシフィック・パリセーズ)は、ロサンゼルスの海岸沿いにある高級住宅地の名称で、本作の舞台にもなっている場所である。一方、邦題としては『(ソフィー・マルソーの)パシフィック通り』(近くに実在するが、ちと違う)が一般的であるが、私が見たPrime Videoでの邦題はなんと『太平洋の柵』。めっちゃ直訳で笑える。この論理だと、New Yorkは「新しいゲロ」だぞ。
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